「お花見?」
「うん!生徒会の皆でね、することにしたの!」




花見





「うわぁ…綺麗な桜…」


ひらりと舞い落ちる花びら。風が優しく吹いて、達の髪の毛を梳いた。


「ね!すごく良いでしょ、此処も!」
「うん!」


かごめの自慢気に話す言葉に、珊瑚が頷いた。


「かごめちゃん、よく見つけてきたね」
「う~ん…ただすぐそこにの家があるってだけなんだけどねぇ」


そう言って、チラッとの方を見やる。ぱちりと目が合うと、互いに微笑して弁当に目を落とした。


「さぁって…食べよっか?」
「そうだね。犬夜叉!早く敷物敷いて!」
「あぁ?!何で俺がっ…」
「は・や・くっ!!」


そう言って、犬夜叉を睨んで見せるかごめ。犬夜叉はビクッと肩を震わせ、弥勒の後ろに隠れた。


「こっ…怖くなんかねぇぞ!」
「良いから早く敷いてしまいなさい…」


ふぅっと溜息をついて、弥勒が呟く。結局犬夜叉はぶつぶついいながら敷物を広げた。は苦笑しつつも、かごめ達に習って敷物に座った。


生徒会メンバーとかごめは言ったが、全員が揃っているわけではない。珊瑚は生徒会長で、かごめは副会長。そして犬夜叉は書記をしているが、他のメンバーは呼んでいない…と言うのはもちろん、生徒会でと言うのがただの口実に過ぎないからだ。


「生徒会って言うよりは、いつものメンバーだよね」
「まぁそうなんだけどね」


そう言ってかごめは弁当箱を開けると、犬夜叉は早速皿を取って割り箸を割る。はりきる犬夜叉にみんなが苦笑していると、が突然あっ、と声をあげた。


「え…どうしたの…?」
「あっ…あっちから来る人…」


視線の先。細身のジーンズに白いシャツを来て、上に黒いパーカーを羽織っている。銀色の髪が綺麗に揺れる、彼は…


「せ…殺生丸…」
「…


どうしてこんなところに。とが思ったことを、当然その場にいる全員が思っていることだろう。真っ先に食って掛かったのは犬夜叉だった。

「殺生丸っ、てめぇ!」


響き渡る犬夜叉の声。だが殺生丸はそれをまったく無視して、に持っていた包みを差し出した。



「は、はい!」


緊迫した雰囲気が流れる。一体何を言われるのかと思ったが…。


「忘れ物だ」


「…………へ?」


間の抜けた声を出してしまう。殺生丸は包み(お弁当)をの前に置いた。


数秒の沈黙が訪れる。やがてそれを破ったのは、笑いをこらえきれない弥勒だった。


「ちょっ…先輩?」


珊瑚が心配そうに彼を覗く。殺生丸は少々不機嫌そうに、弥勒を睨んだ。


「殺生丸がっ…届け物…。くっ…」


"くすくす"と言う笑いから段々"爆笑"へと変化していく。その場の全員がきょとんとしている中、弥勒の笑い声だけが響いた。


「せっ…殺生丸もっ…花見して行きますかっ?」


ようやく笑い終った弥勒がそう尋ねると、犬夜叉と殺生丸が同時に「なっ!」と言ったので、今度はとかごめまで噴き出してしまった。


「俺は嫌だぜっ、こんな奴と!」
「ふん…。こちらから願い下げだ」
「んだとぉ?ってかかごめ!笑ってんじゃねぇ!」


そんな風に言って、ダンッと地を踏み叩く犬夜叉。そのすぐ傍では殺生丸がじろりとの方を睨んで見た。


「だっ…だって!あんまり反応っ…ふふっ…。そっ…くりでっ、」


笑いを堪えつつ、かごめが言う。もそれに首を振って同意すると、殺生丸の肩をペシッと叩いた。


「やっ…ははっ!…そっくりっ」
「…殺すぞ」
「や…だ…って!」
「…いい加減笑うな」
「っ、ひゃ」


殺生丸が近くにあったおにぎりを掴んで、の口の中に突っ込む。は笑うことも許されず、二口分以上にもなる量を一回で飲み込んだ。


「っは…。ちょっ…殺生丸!」
「先に笑ったのはお前だ」
「だからって!もう、殺生丸のばかっ!」
「…もう一度やられたいのか?」
「遠慮しときます…」


そんな二人のやり取りに、くすくすと笑う珊瑚。その隣で犬夜叉は、今までに見たこともない殺生丸の反応に驚いていた。


殺生丸が楽しそうなところも、これほどふざけた所も、見たことがない。そしてよくよく考えれば、忘れ物を届けるような人間ではないはずなのに。


「(こいつ…に惚れてんのか?)」


そう思わずにはいられない変貌ぶり。犬夜叉はかごめに差し出された料理を食べながら、少しだけ二人のほうを窺っていた。









アトガキ。

お花見~。
こっちはまだ桜も裂いてませんよ。
web拍手でネタを下さった方がいらっしゃったので採用しちゃいました(笑
メールでも同じアドバイスしてくださったり~。
だから書いて見ました。
さって…。
次は管理人の趣味で書きます。
お花見も趣味のうちですが、それ以上に。
桜シリーズみたいになりますが…まぁ許してください。

それでは失礼します。










2005.04.23 saturday From Aki Mikami.
2007.02.06 tuesday 修正。