森の中で、彼の気配に集中して、また走り出す。それを繰り返していた。彼はさきほどまでどうやら移動していたらしいのだが、今は動きがピタリととまっている。


この森を越えれば、彼がいる。


ははやる気持ちを抑えきれずに走り出す。月明かりすらも届かぬ森の中で、これほど走ることが出来る喜び。それをはやく、殺生丸に伝えたかった。


「、 殺生丸様!!」


そう叫んだ瞬間開けた視界。その一番奥に、…彼はいた。


艶やかな白銀の長い髪を揺らしてそれを月明かりが更に煌かせている。妖鎧をつけ、腰には刀を刺し、純白の袴を着た、凛々しい背中。ゆっくりと振り返ったその顔に、赤く走る模様が映える。


は、彼のあまりの綺麗さに、言葉をなくしていた。


「…なんだ」


そう彼に問われて、我に変える。


「あ、あの、殺生丸様私、目が…」
「見えるのか」
「は、はい」
「そうか…」


そう言って、の方に歩いて来る殺生丸の歩みは、随分とゆっくりだった。硬直して動けないに、殺生丸が右手を伸ばして、その頬に触れる。


「…本来は、黒い瞳、なのだな」
「そう、です…」
「…その目で、私が…この私が、見えているのか」
「……はい…」


頷いたにやわらかな口付けが降りてくる。近づいてきた美しい顔に頬を赤く染めたは、体が熱く火照っていくことに気がついて、きつく目を瞑る。


「殺生丸様…あの」
「この世は、どう見える」
「え?」
「お前の目に、この世はどう見える」


突然の問いに、驚いた。だが、彼の目は真剣そのもので、…は小さく微笑むと、彼の背中に腕を回して、きつく抱きついた。


「美しく、見えます。貴方がいるこの世が」
「……そうか」


そう呟いた殺生丸も、を抱き締める。その腕の力が緩むと、は彼の横をすり抜けて、白い光を放つ月を眺めて、…唄い始める。


白が、黒を埋め尽くすように、世界がの唄に包まれていく。
やわらかな旋律が、風に乗って運ばれていく。




白い白い世界が、ゆっくりと、唄に満ちていった。









アトガキ。


わけわかんねぇ終わりに(死)
しかも一年振りぐらいの更新だ…死んでしまえ自分(`д′)


白い世界に響き渡る唄声、終了です。
すこし一シーンが長かったように思われますが…読みづらくなかったですか?
で、殺生丸様が偽物過ぎて、嫌気刺しませんでしたか?
そして、あまりにも展開早過ぎていやになりませんでしたか?(聞きすぎ)

私的には気に入っていたのですが、行き詰まっていたお話。ようやく終了することが出来ました。
ぶっちゃけ、第二場面ぐらいから一気に書き上げました(テスト期間の癖に)。
思いついたらさっさと書かないと、と思いまして…(汗


とにかくこの話は、殺生丸様をやさーしくしたかったのです。
偽物です偽物…!やばいです!

もう少し優しさを隠そうと思ったんですが、それもできず…
所詮私の文章力ではこの程度…ですね(笑)

ここまでよんでくださってありがとうございました。
それではこれで失礼します。









2005.06.26 sunday
2005.07.18 monday
2006.09.03 sunday From aki mikami.