この間の私の誕生日はひどかった。あいつは私がほしがってるとかわけわからんこといって、見たこともないドS道具を持ってきて私を縛り付けたりして。…まったくのぞんでないっつーの。いくら私がそう伝えても問答無用。私の誕生日でそれなのに。
今日は、総悟の誕生日だ。一体何を要求されるやら。
とか考えているのに、実は今の今まで何もない。朝家を出るときからずっと警戒し続けているのに、何かしてくる気配すらない。こっちは総悟が少しでも動くたびにびくびくしているというのに。…そんなこんなでついに放課後になってしまった。
のろのろと黒板をきれいにする銀八の目の前で、箒バトルを繰り広げている神楽ちゃんと総悟。その様子はいつもと変わらない。…けど、やっぱりおかしいよね。
私はちりとりの箒を二人に向かって投げた。二人はひらりとそれをかわして、間にいた銀八に当たってしまったけど気にしない。
「総悟!」
「……なんでィ」
「ちょっときて!」
そういった瞬間教室がざわついたけど気にしない。そんなこと気にしてたらこのクラスではやっていけない。…私、図太くなったよ、お母さん。
総悟を教室の外の、人気の少ないところまで連れ出した。いやそうな顔で、私から目をそらしている。
「…ねえ、総悟」
「んだよ」
「なんで何もしてこないの!」
「…は?」
「今日、誕生日でしょ!」
「そーだが…」
「だったら、いつもの総悟なら、あれしろこうしろ何しろっていってくるはずでしょ?なんで何もいってこないの!」
「…は?」
「いや、は?って…解りやすく説明したはずなんだけど…」
なんでそんな言い方されなきゃいけないのか。私からはこれ以上何も言うことはないんだけど。…話が先に進まなくて黙り込んでいると、総悟がふっとため息をついた。
「戻るぞ」
「え! ちょちょ、ちょっとまって、まだ話は終わって」
「終わってねーって先にも進まねーだろーが」
「…そ、そりゃあそうだけど…」
「大体、なんでオレが自分の誕生日に自分でなんか行動しなきゃならねーんでィ」
「…え?」
「普通誕生日はテメーの方からプレゼント持ってくるもんだろーが。…それくらい分かれ」
そういったきり、後ろを向いてしまった総悟。…そのまま何もいわずに、教室の方まで歩き出した。
要するに、総悟は私が何か持ってくるのをずっと待ってた、ってこと…?
「ッ…かわッ
「かわいいとかいったら殺す」
「…はい」
いや、でもやっぱかわいいでしょ。…かわいすぎるでしょ総悟。
「じゃ、じゃあ…あとでプレゼントあげるから…一緒に帰ろ?」
後ろを歩きながらそういうと、小さく、おう、と答える。…い、いつもならそんなこといわないのに!
うれしくて浮かれていたら、後ろ向きに思い切りどつかれた。調子に乗るなよ、って、…はい、ごめんなさい。でも、私からのプレゼントを望んでくれてるってことは、私のことを好きだと思ってくれてるんだよね?総悟。
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