下に降りていくと、今まさに出かけようとしていた母とはちあわせになって、目を見開いて驚かれた。


、あんたその格好…!?」
「変…かな?」
「変じゃない!似合ってるわよ!それにしても…ついにもおしゃれに目覚めたのねー」
「…白馬」
「え?」
「白馬が選んでくれたの」
「あぁ、あの茶髪の男の子ね?」
「うん…」
「いい彼氏ができたわねー。センスはいいし、格好いいし、頭もいいし!」


彼氏じゃない、と否定したけど、照れないの、と笑われた。別に照れてるわけじゃなくて本当に彼氏じゃないんだけど、残念ながらこの人は一度言い出すときかない人だ。私にお金と買い物メモを渡した後、お幸せにね、と嬉しそうに言いながら出かけていった。


私は、窓ガラスに写った自分を見た。服は綺麗なのに、顔に元気がなくて、バランスが悪い気がする。


馬鹿みたい。ただ白馬がいないだけで、こんなにも弱るなんて。私は、そんなに弱い人間じゃなかったはずだ。ずっと一人でいたんだから。


「っ…」


気だるい思いを振り切るように私は家を出た。