『My Blue』は、『Blue in the water』と一緒に美術館に飾られることになった。なんでもあの美術館の館長さんは、前に言っていた、父さんの友人と友人で、しかも父さんとも交流があったらしい。以外と顔が広いんだね、と言ったら、白馬はそうだね、と言って、なぜか自分が誇らしげにした。何でも私が喜ばないから代わりに喜ぶんだそうだ。


それからしばらくして、私達はパリに向った。理由は、父さんの墓参り。それから遺品を整理して、戻ってきた。母さんは仕事があっていけなかったけど、お墓に備えてきて欲しいといって、手紙を預かってきたから、それをちゃんとお墓においてきた。


アパートは殆どがそのままになっていた。ずっといじられていないのに埃をかぶっていないのは、父さんの友人が、わざわざ掃除をしてくれていたかららしい。いつ私たちがここを訪れてもいい様に、と。


殆どのものは、処分してきた。遺品の全てを持ち帰って、それらにか困れて暮らすなんてごめんだ。でも、家の中においてあった数枚の絵と、画材道具だけは、持って帰ることにした。…絵を書くときくらい、あの人を思い出してもいいと思ったから。


3泊4日の長旅を終えてようやく帰国した私は、初めての外国ですっかり疲れてしまった体を寝転んで癒していた。一方外国暮らしが長くて少しも疲れた様子がない白馬は、私のばてた様子をみて楽しそうにしている。


「以外と体力ないね、
「あんたと違って外国慣れしてないの」
「…まぁ、僕はイギリス暮らしが長かったからね」
「自慢かよ。…このナルシスト」


なんだか久しぶりに言ったな、この台詞。そう思っていたら、白馬が突然、私の上に覆い被さってきて、びっくりして反射的に腕を振り上げた。けど、その腕を逆につかまれて、抵抗出来なくなってしまう。


「ちょ、何よ白馬!止めてよ!」
「…久しぶりに聞いた」
「え?」
の『ナルシスト』」
「あぁ…うん、まぁ、確かに久しぶりに言ったかもね」
「素直で可愛いもいいけど…やっぱり、それくらい元気がないと張り合いがないな」
「何よそれ」
「ようするに…」


額にふわりと口付けられる。顔を上げた瞬間は、意地悪な笑顔。


「元気になって良かったってこと」
「思ってないでしょ」
「思ってるよ、ちゃんと」
「顔が笑ってんのよ顔が!」
「僕は元々こういう顔だからね」
「うそつけ!」


右足で思いっきり膝を蹴ってやると、かくん、と体勢を崩してこちらに倒れ込んでくる。ごろんと転げてそれをなんとかよけた。寸でで床に手をつく白馬と目が合う。


…今のは本当に危なかった」
「ごめんごめん」
「反省してないだろう?」
「うん」


そういった瞬間、白馬の手がこちらにのびてきた。腰を捕まえられて、引き寄せられる。


多分今、白馬はすごく楽しんでる。すごく安らいでる。


そんなことを思いながら、私はゆっくりと目を閉じた。


わかってる


今度は私が、そう言ってあげられるように、なれたら。


「…好きだよ、探」









アトガキ


Blue in the water、これにて終了です。何て半端に切るんだと思った方もいらっしゃるでしょうが、私的にはこれでハッピーエンドです。はい。こっから先は皆さんの想像にお任せ(笑)
この話についてはあまり多くは触れたくないです。言いたいことは話の中に、たくさんたくさんのせたつもりです。ただ一つ言うなら、"親子愛"って言うのはかなり意識しました。それは、最近私が親と(父親と)あまり仲が良くなくて、でも、友達に父親を病気でなくした子がいて、なんだかすごく私、へこんでしまいまして…


自分の父親だからって無条件に何でも許せるわけじゃない。…でも、やっぱり嫌いになんてなれないんです。


後は白馬君が上手く表現で来てればいいなぁと思います。途中で出てくる暗号とかは結構苦し紛れで考えてますんで、つじつま合わなくても勘弁してください(↓)


では失礼します。









2007.05.27 sunday From aki mikami.