L、Lって何にも考えずに呼んで来たけど、やっぱり名前って知りたいじゃない。でも、キラ事件では名前を隠すことが必須事項だから仕方ないか。特にLなんて真っ先に殺されそうだし。

…でも、やっぱり好きな人の名前は知りたい。


「L」
「なんですか?」
「私のこと好き?」
「は?」


は?って言われた。まぁ当然だ。Lなら絶対そう言うだろうことは予想していたけど、…うーん、やっぱり少しショックかもしれない。


「好き?嫌い?」
「…好きですよ?」
「なら、名前を教えて」
「だからL、もしくは竜崎」
「いや、それじゃダメなの。ちゃんとした、Lの本名が知りたい」


私の言葉に、Lは首を直角に曲げた。


「どうしてです?」
「ん…べ、別に意味は無いけど」
「……貴方のことをキラだとは思っていませんが、どこかから情報が漏れる可能性が無いわけでもない。私も命は惜しいです」
「…聞いても、絶対口にしない。心の中にしまっておくから」
「ダメです」
「……けち」
「そう言う問題じゃないです」


いつものようにぱかーっと口を開けて、背中を丸めながらのそのそ私の方へ歩いてきたLは、じっと私の目を見つめていたかと思うといきなり、ふっと私の顔に思い切り息を吹き掛ける。その一瞬の衝撃で目をつぶってしまった私は、次に目を開けたときには既にLの腕の中にいた。


「…悲しそうな顔、するんですね」
「ん…だって。知りたかったんだもん」
「キラ事件が解決すれば、教えます」
「…約束できる?」
「はい、約束します」


私がそう、とだけ返すと、Lはまたはい、と答えて私を離した。逃げていく温もりがもったいないと感じながら目を数回パチパチさせると、今度はまるで突然壁から現れたかのようににゅっとLの顔が目の前につきだされ、硬直するような暇もなく口付けられた。


「…愛はあるんですけどね」
「ちょっと、不意打ちって酷くない?」
の要求の方が酷いです」
「そう? ってか腹くくったらいいのに」
「…それが出来たら今こんな所で捜査してません」
「あっそ」


素っ気無く言った私に、やっぱりのほうが酷いじゃないですかと文句をもらすL。こっちは突然のキスで内心ドキドキしてるのに、どうしてLはこんなに平然としてられるのかって思ったら、少しばかり腹が立ってきた。流し目でばーかと呟いたら、あとに"が"と付け加えられてまた更に腹が立ったので、結局はLの額にデコピンを一発…何て当たるわけないけど。

まぁ、名前なんてどうでもいいや。だんだんそう思えてきたので、とりあえず今日はよしとしよう。

でももし、私のことを愛してくれるなら…いつか、貴方の名前を教えて。









2006.02.17 friday From aki mikami.