いくら目を閉じても眠れない夜。


そんな日は必ず起き上がって、モニタールームにいるLと話をする。


Lは、嫌がることなく私の話を聞いてくれる。キラ事件を追うのは大変で、忙しいはずなのに。


私はLに甘えている。


モニタールームに入る。すると、いつもはあるはずの後ろ姿がそこになく、ただそれだけのことに驚いてしまった。


みんなそれぞれ与えられた部屋で寝ているはずだから、私とL意外、ここにいなくて、しかもLはいつもモニターの前に座っていて。


それが普通だから、私しかいない空間に、なんだか寂しさを覚えた。


…馬鹿だとわかっているのに。


「……さん」
「っ………!」


突然背後からかけられた声に驚き振り返ると、ティカップを持ったLが猫背のままソファに座り、こちらをじろりと見つめていた。


「…え、L」
「また眠れないんですか」
「うん…」
「最近眠れない日が多いようです何か、ありましたか」


と、突然尋ねるものだから、私は答えにつまってしまった。そこをすかさずLにつっこまれる。


「……そうですか何も、ないのですね」
「……」
「ならそれは私と、話すためだと思いますいいですか」


………?


言葉の意味をいまいち理解出来ない。


「…はぁ…好きにとってください」
「そうですか。ならさん」


なんのそうですかなのかさっぱりわからないままに、ちょいちょいと手招きされる。素直にソファまで寄ると、いきなり強く腕を引かれ、そのままLの体に倒れ込んでしまった。


…ふわりと、温かい手が私を抱き締める。


「な、なな、ななっ…何するんですかっ!!」
「何って…貴方は先程好きにとって いいと自分で言いましたよ」
「そうだけど!だからってなんでこうなる…
「私のことが好き…そう言うことではないのですか」


真顔で…至極真面目に聞いて来るL。そう言うつもりで聞いていたのか、とようやく納得したが…


はい、そうです。と簡単に答えられるほど私は恋愛慣れしてない。


「…………」
「違うんですか」
「………なぃ」
「なんですか」
「ちっ…違わない!」


勢いで答えるのが精一杯だった。恥ずかしくて目も合わせられない私に比べ、Lは嬉しそうに笑っている。


「そうですか」
「そ…う…ですよ」
「わかりました」
「………」


ぎゅ、と強く抱き締められた。…もしかしたらLは性悪かもしれないと思ったけど、怖くてとても口にできなかった。


…これからは別の意味で眠れない日が増えそうである。









2007.01.11 thursday From aki mikami.