「ここおくよ」


そう言って、は書類を中央の机の上に置いた。


「生徒会長なんだから、雑用はほかに任せればいいのに…本当手塚ってまじめよね」
「たまたま先生に頼まれたんだ。あそこで俺が通り掛からなかったら、係の役員がやっていた」
「なに、係りなんていたの?先生に言えばよかったのに!」
「別に特別用はないんだから、断る必要はないだろう」
「はぁ……さすが生徒会長様、考え方が違うねぇ。そんなんで疲れないわけ?」
「…俺はお前みたいにいつもテンションが高いほうが疲れると思う」
「へぇ、随分言ってくれるじゃん?青春時代を桜花していると言ってほしいな」
「……」
「あ、今くだらないとか思ったでしょ!」
「……これを仕分けするから手伝ってくれ」
「こらっ、はぐらかすな!!」
「…保健室にでも言って来た方がいいんしゃないか?」
「ひどっ!あたし本気なんだけど」
「…お前の本気はどこまでが本気かわからないからな」
「……っ!!!」


突然、が今まで座っていた椅子を倒して立ち上がる。何事かと今まで書類に向けていた視線を向ける。…そこには、ひどく怒った様子のの姿。


「…なにそれ」
「?」
「……あんた今まで、あたしのことそんなふうに思ってたわけ?」
「いや…今のは言葉の


バンッ


言葉のあやだ、そう言おうとしたが、彼女に遮られた。は机をたたいて、俺を強くにらみ付けた。


「……あたしは、あんたに嘘ついたことなんてない!」

「からかったことはあっても、嘘だけは…嘘だけはついたことないのに…!!」


そう言って、は生徒会室を出て行った。後に残された俺は、ただ頭が混乱している。


があそこまで怒っているところをみたのは、はじめてだった。だから、驚いたし、動揺もした。はいつもにこにこしていて、明るくて、少し抜けていて、フットワークが軽くて。


怒ったところなんて、想像も出来なかった。