「手塚!」
「っ…!」


廊下から突然飛び出して来たは、いつも通りニコニコしている。俺の方は突然、と言うところよりも、が、と言うところに驚いていた。


「…?手塚?」
「いや、その」
「何その、お化けでも見たみたいな顔」


そう言って、は俺の頬をグッとつまむ。…河村にあんな事を言われたせいか、触れられた部分から熱くなっていくのがわかった。


「あ、もしかしてびっくりしちゃいましたかぁ〜?」
「あ、あぁ、…まぁ」
「…やったぁ!」
「?」
「やったやった!ついにやりました!あたし、はようやく、手塚国光を驚かすことに成功しましたぁ!」


瞳を輝かせてそう言う。そういえばいつもは、俺を驚かすことに躍起になっていた気がする。ぴょんぴょんと飛び跳ねながら見せる笑顔は、明るい。…いつもの笑顔だ。


…段々、警戒している自分が、ばからしくなってきた。


「もう驚かないぞ?」
「あーらっ、何度でも驚かせてやりましょうっ!」
「お前にはむりだ」
「ひっでぇ!ぜーったい驚かす!」


そう言って、は俺の二の腕であたりを叩いた。…いつもの、俺達だ。


だが、俺はどうしても気になっていた。そもそもが何故、俺を好きになってくれたのか。