放課後。


俺はなぜか、生徒会室でと一緒にいる。理由は…一時間ほど前。


生徒会の先生に頼まれて、俺は書類の整理をしていた。そこに、なぜかがやってきた。なんだと聞いたら、乾が俺から借りて行った政治経済の資料集を変わりに返しに来たと言った。そして、俺の作業の様子を見て、手伝おうか、といった。…もちろん、断った。こんな整理の出来てない頭で、と一緒にいるなんて、きっと当たってしまうと思ったからだ。だが、断ってしまうのも、あからさまに近づくなと言っているようなものだ。そう考えたら、断る事が出来なかった。


そして、今に至る。


お互いしゃべらずに、黙々と作業を続けていた。
作業の内容は、年代別に別けられた書類を順番に並べて、ホチキス止めすると言うものだった。俺が書類を順番にして、がそれをホチキスで止める。パチンパチンと言う音と、紙と紙が擦れる音しか聞こえない。


「…手塚」


突然、が口を開いた。


「…なんだ」
「あのさ…あんた、最近あたしの事避けてない?」


いきなりの指摘に、心臓が飛び跳ねそうなほど驚いた。


「なっ…」
「避けてるよね?明らかに。…出来ればこんなこといいたくないんだけどさ。でも…何か悪いことしたんなら謝ろうと思ったから。その前に、何の理由があるのか聞かないとね」
「…べつに、避けてなどいない」
「うそ!絶対避けてる。それに、…昨日の部活の時だって、あんな叫んでたの、あたしのせいなんでしょ?あたし、なんかしたんなら謝るから、
「だから、何でもないと言っているだろう!」


しんとした、沈黙が訪れた。


いってから、やってしまったと思った。だが、後悔してももう遅い。


は俺の方を驚いた瞳で見ていた。当然だ、いきなり叫ばれたのだから。俺自身だって驚いている。自分がこんな態度をとってしまったことに。


「…て、づか?」
「……少し、出てくるっ」


もうその場にはいられなかった。動揺を露わにした彼女の瞳に、絶えられなかったから。立ち上がって、生徒会室を出る。どこに行くでもなく校内をふらつく。


もうダメだと思った。きっと俺とは、前のような関係には戻れない。いくら彼女が俺の事をすきでも、あんな態度をされて好きでいてくれるはずがない。…もしもそうならなかったら、俺が、つらい。