次の時間。


俺は授業が終わると真っ先に立ち上がり、11組に向った。


11組に着いてクラスをのぞくと、一番目立つ場所(ど真ん中)に乾が座っていた。


「…乾」


ぎぎぎ、と機械のように振り返った乾は、やはり来たね、と言って怪しい笑みを浮かべた。


「さっきが手塚に会いに行ったのを見てね。で、が戻って来ないから…喧嘩でもしたんだろう?」
「………え?」


平然と、何でもないことのように言ってのける乾だが…今、大変なことを言わなかったか?


―――…が…戻ってない?


「本当か!」
「え、何がだい?」
が戻ってないって…」
「あぁ。戻ってない。本当だよ。俺が勝手に病欠にしておいたけど…


乾の言葉を聞き終える前に走り出した。


…俺のせいか?


俺のせいなのか?


授業をさぼるほどに憤慨したのか?


…それとも


傷ついたのか…?