HRが終わって教室を出ると、がそこに待っていた。どうやらの方が早く終わったらしい。待たせたな、と言うと、待った待った!といいながら凭れていた背中を浮かせた。 「お前には気遣いはないのか?」 「なぁに言ってるの!私ほど優しい人間もいないでしょ!」 「テニス部全員に聞いて回ってみろ。誰一人頷かないぞ」 「1年は頷くでしょう?」 「…怖くて、な」 「…なによ、私が怖がられてるみたいな言い方して」 「怒りのとして恐れられてるだろう」 そんなことないもん、と言ってむくれると、俺を放って歩き出す。後ろからついて歩くと、急に振り返って、楽しそうに笑う。 「デートみたいだね」 「………あ、あぁ」 みたい、じゃなくてデートだろう。そう思ったが、言えなかった。 は前に向き直ると、またすぐ首だけ振り返ってちょいちょいと手招きした。隣りに並べということらしい。早歩きで追いつくと、またにあわせてペースを落とした。 普段も並んで歩くことくらいあるはずなのに、こんなに意識してしまうのは、きっと今日がクリスマスイヴだからだ。 かなり下にあるの顔を見ながら、玄関に続く階段を下った。 ◇◆ |