翌日。


オレは指定された建物の前でが来るのを待っていた。かばんの中には、さっき買ってきたプレゼントが入っている。時間は6時15分を少しまわったところだった。待ち合わせは30分だが、早めに早めに来るに越したことはない。


最初待ち合わせ時間を提示されたとき、もう少し早くしたほうがいいんじゃないかといった。だが、はどうしてもこの時間がいいといって譲らなかった。オレも特別用があるわけではないし、門限も特に厳しく言われていないのでOKした。


「国光!」


そう声がして振り返ると、が手を振りながらこちらに走って来るのが見えた。


その姿に、体がこわばった。…いつもの制服とは違う、どこか大人びた雰囲気に。


「国光、来るの早くない…!?」
「別に用があったからな」
「え、そうなの?」
「あぁ」


かばんからプレゼントを取り出して、に手渡した。はじめはきょとんとしていたが、すぐにうれしそうに笑って、ありがとう、といった。も用意してくれていたらしく、青い小さめの紙袋を渡された。


「じゃ、行こっか」
「…いくってどこにだ?」
「ん?この上!」


そういって、は軽く頭の上を指差した。その視線の先を追いかけるが、どう見てもマンションしかない。


「…この上?」
「そ。ここのぼるの。ほら、非常階段あるじゃない」
「だめなんじゃないのか?」
「なんでー?いいじゃん!」


といって、はオレの手を引いて歩き出した。その瞬間、体が熱くなった…気がしたが、オレはわざと気づかないふりをしてこれから向かう階段の上を見上げていた。