と花火を見た日・・・つまり学校祭1日目から2日。今日は最終日だ。俺はあの日こっそり盗み見たの横顔を思い出していた。
別に盗み見る必要はなかったのだ。やましい関係ではないし、学校で教師と生徒が並ぶなど、極普通のことだろう。・・・だが、なぜだろう、心の何処かで罪悪感を感じてしまう。それは俺がに好かれているからだろうか。
・・・自分を好きか嫌いか、そんなことは生徒の様子を見ていればすぐに分かる。好いてくれている生徒はのほかにもいるはず・・・なのに。だけに感じるこの違和感のような物は何だろうか?
そんなことを考えながら、付き合いで買った食券と引き替えてもらったパンを食べる。すると、職員室の奥、休憩室から、の部活の顧問の先生とが、険悪な様子で歩いてきた。横顔だけ見えるの顔は・・・赤い。


佐藤先生はドスッとイスに座ると、腕をくんでに告げた。




「部の責任は部長の責任だからな」




・・・そんな言い方をするか?そう思ったが、彼女の部活と直接関係内自分は口出す資格がない。言われたは、あからさまに不機嫌な顔をして、わかりましたとつぶやいた。

足取りも何処か苛ついた様子で、職員室を後にする。俺はそんな彼女の背中を、思わず追いかけてしまった。
職員室から見えないような位置まできて、の小さい背中に駆け寄る。それからできるだけ自然に、彼女に話しかけた。




「部長は大変だな」
「っ・・・BJ先生っ」




そういって、振り向く。その瞬間俺は驚いて、動きを停止させていた。
・・・の頬には、薄い筋ができていた。




「・・・先生っ!聞いてたんですか!何にも聞いてないみたいな顔してたくせにっ」
「それは聞こえるだろう。イヤでもな」
「いやぁ〜かっこわるいとこ見ないでくださいよっ!聞き流して下さいっ」




そんな風に笑う。・・・けれど、頬に刻まれた筋は、未だ消えない。


歯車がうまくかみ合わないように、自分の中が少しおかしかった。が笑ってない、只それだけのことなのに。




「・・・、食券いるか」
「え・・・?」
「沢山持ってるからやるぞ」




Yシャツのポケットから色画用紙で作られた食券を取り出して、に渡す。受け取ったは訳がわからないといった顔で、俺の方を見上げた。




「えっと・・・貰っていいんですか?」
「あぁ。好きなもの選べ」





俺がそう言った瞬間、先ほどまで泣いてたとは思えないほどの笑顔で笑って、楽しそうに食券を選ぶ。その瞬間、心のどこかでほっとしている自分が居た。の笑顔が見れたこと。それが、こんなにも俺を安心させるのか。が不機嫌だったり、ましてや泣いてたり。
・・・そんな顔、もう二度と見たくない、そう思った。





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2005.07.23 saturday From aki mikami.