Scene 07



酔ってべろんべろんになったと萩間くんを車で送ってから、私達はようやく家についた。時計を見ると、時間は既に2時を回っている。私たちは結局帰りにお酒を買って、浅葱さんの家で飲み直していた。


ちなみにあの後は、と萩間くんが異常なほど盛り上がって、そのままカラオケに直行、帰りにゲーセンに寄って太鼓の達人をやりまくり、プリクラを3枚ほどとってようやく息絶えた。その間私と浅葱さんは、二人の様子をぼんやり眺めているしか出来なかった。


「………嵐のような一日でしたね」
「まったく…もうああ言うことはないようにしてもらわないとね」
「それにしても、本当に迷惑かけました……」
「君じゃなくてあの二人に謝って欲しいかな」
「はは……ですよね」


ふー…、と長いため息を同時についた。もう本当に、あの二人とは飲みにいかないことに決定。


「……そういえば」
「なに?」
「浅葱さん、明日お休みですか?」
「一応ね。…でも、どうせ君に付き合わされるんだろ」
「あ…よくわかっていらっしゃる」
「君の考えそうなことなんてわかるよ。……まぁ、乗りかかった船って言うか…はやく普通の生活に戻るためにも、協力はするよ」
「っ!ありがとうございます!」


ぎゅう、と浅葱さんに抱き付く。こういうのはお酒が入ってるから出来ること…だけど、さすがにたちみたいに人前では出来ないよね。


浅葱さんはばか、と言いながら私を引き剥がそうとして肩を掴んでくる。負けじと浅葱さんにしがみついて、意外と広い胸板に頬を擦りつけた。


「わっ、ちょ…!」
「いいじゃないですか少しくらいー…」


なんだか、すごく安心する。ずっと一人暮らしで、彼氏もいなくて、あんまり電話とかもしないタイプで…


ずっと、寂しかったから。


浅葱さんは、ふぅ、と短く息を吐いた。お酒の匂いがして、頭がくらくらする。


ぼんやりと、意識が沈んでいくのがわかる。…眠い。


沈みゆく中で私を包む温かな腕を、感じたような気がした。