08.「いつでも貴方と触れていたい」



並んで歩けることが、奇跡だと思う。


世界的な名医・ブラックジャック。彼はその天才的な頭脳と能力で、無免許であるにもかかわらず、世界中から以来がやってくる。無免許だからこそ、という裏ありの人もいるけれど、とにかく最高の技術を持った人だ。


かく言う私は、ただのしがない高校生。一応恋人、としてそばにおいてもらっているけれど、時々不安になる。


…先生が私を好きでいてくれてるかどうか。


私がそれを実感するのは、とても不謹慎なときで。


上から下まで真っ黒いスーツに、黒のマント(?)を羽織った姿。さながらヴァンパイアのような格好に、始めてみた人が驚くのは無理もない。それは認めよう。だけど、世界には先生を軽蔑するような人間もいる。誰よりも命に執着する、医者の鏡のような先生を。


「最低な人間」
「冷徹な人間」


そんなことを勝手に言うやつもいる。そんな時、先生は私とつないでいた手を必ずそっと離す。あくまで関係ないと距離を置いて、すべてを背負い込もうとする。


でも私はそんなとき、あえて先生の手をとって、歩き出す。悠然と、胸を張って。


私はこんなに愛されています。

「最低な人間」に。
「冷徹な人間」に。


そう先生に言ったら、先生は少し笑って、私に小さなキスをくれた。


先生がなんと言われようと
私がなんと言われようと
私は、先生に触れていたい。


二人でいることが幸せで。


だから私たちは、今日も手をつなぐ。









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#08
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