24. 「左手の薬指は大切なんだ」





「…?」


突然立ち止まった彼女は、ショーウィンドウをのぞきこんでいた。


「何みてるの…?」
「うんっとねぇ、これこれ」


嬉しそうに笑って指をさした先には、銀色に光る指輪。


「…欲しいの?」
「うーん、欲しいって言うか…」
「…なに?」
「…結婚指輪に、欲しいなぁ…」


恥ずかしそうに頬を赤くする。その様子が可愛くて、軽く頭を撫でてやった。


「絶対、僕が買ってあげるから」
「うん、それまで待ってる」


まだまだ随分先のことかもしれない。それでも、きっと僕達はこの先、2人でこの道を歩いていく。…僕達の左手の薬指に、銀が光ることを待ち焦がれる。









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#24
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