25.「君の独占欲は、時々怖いよ」



久しぶりにかごめちゃんたちと会ったから、立ち話をしていた。勿論その間殺生丸は至極機嫌が悪そうにしていたけれど、構っていたら私、自由に行動出来ないもん。


話は最近会ったこととか、私からは殺生丸のこととか、かごめちゃんからは犬夜叉のこととか、珊瑚ちゃんからは弥勒様のこととか、七宝ちゃん的にみたみんなの動きとか。ようするに世間話なんだけど、一度話が弾み出すと、なかなか止まらないのが女の子というもの。その間犬夜叉と弥勒様は二人で敷物を敷いて休憩していて、殺生丸は阿吽にもたれ、腕を組んだまま目を瞑っている。りんちゃんは邪見と二人で遊びに行ったみたい。


「そう、それでもうね!犬夜叉ったらじいちゃんの大事にしてたつぼわっちゃって!じいちゃん慰めるの大変だったんだから!」
「ほーんと、犬夜叉ってバカだよね」
「バカかどうかはわからないけど、殺生丸はそんなへましないかなぁ…」
、遠慮する事はないぞ!犬夜叉ほどのバカは他におらんからのぅ!」
「おい七宝…今何つったコラっ!!」


いつの間にか私たちの後ろに立っていた犬夜叉が、七宝ちゃんの尻尾を掴んで持ち上げた。


「ちょ、犬夜叉!やめなよ」
「うるせぇ!大体てめぇも殺生丸なんかと比べるな!」
「殺生丸なんかって…兄弟でしょ?」
「あいつは俺のこと弟なんて想ってねぇんだよ!っていうかなぁ!俺が殺生丸よりドジみたいな言い方すんなよ!」
「何言ってんのよ犬夜叉、事実でしょ、事実」
「おうかごめ!てめぇもか!」
「あーもーうるさいなぁー!おすわり!」
「フギャっ!」


べしゃ、と地面とこんにちわしている犬夜叉。ようやく話して貰えた七宝ちゃんが犬夜叉の頭をペチペチたたいている。


「コラコラ七宝ちゃん、止めなさい?」
「そうよ、また犬夜叉に殴られるわよ?」
「って、もうおせぇー!」


ごす。


起き上がった犬夜叉の拳が、七宝ちゃんの頭をヒット。涙を浮かべた七宝ちゃんは、私の胸に飛び込んできた。


「うわーん!!犬夜叉が虐めるぅうー!」
「おいこら、俺がお前に虐められてんじゃねぇのか」
「ちょっと犬夜叉!殴ることないじゃないの!」
「! までそんなこと言うのかよおいっ」
「…………貴様ら」


突然、氷のような声が頭上から響いた。…あれ、もしかしてこの感じ、怒ってらっしゃいますか?…殺生丸さん。


「せ…殺生丸?」
「…」


殺生丸は、無言のまま私から七宝ちゃんを引っぺがして、そのまま腕を引いて歩き出した。もしかして、痺れを切らしましたか?待ってられなくなっちゃったの?どっちでもいいけど、腕、痛いなぁ。


「かごめちゃんごめんね!またね!」
「う…うん…」


あ、かごめちゃんが引きつった顔してるよ。当然だ、だって突然だもんね。


無言のまま阿吽にのせられて、殺生丸も一緒にのって、飛び立った。遠ざかっていく犬夜叉達が、こっちを見つめていた。






◇ ◆
オマケ





「うわーん!おら、殺生丸ににらまれたぁ!!」
「おめぇが殺生丸の目も気にせずににべたべたするからだろうが!」
「そうよ、七宝ちゃん!ちゃんが絡むと殺生丸怖いんだから」
「うぅ…だからって…おらまだ子どもなのにぃい!」
「まぁ、今回は七宝が悪いですな」
「それにしても殺生丸…変わったよね」
「あれってやきもちでしょう?…怖い怖い。やっぱり兄弟って似るのね?」
「おいかごめ、そりゃどういう意味だ?」
「そのままの意味よー」
「俺は似てねぇ!」
「はいはい、勝手に言ってなさい」
「兄弟そろって、独占欲が強い」
「ホントホント」
「おいお前等!だから俺等はにてねぇって言ってんだろ!」









love story 30 titles
#25
partner:sessyomaru