『楽しいですか?』
そう聞かれたから、私ははいと答えた。けど内心は面白くなんてなくて、こいつは人の心が読めるのかと少し気持ち悪く思ったりした。
「ー」
空になったカップをぶらぶらさせるL。私は仕方なく仕事を中断させてカップを奪い取り紅茶を注ぎ足した。
「自分で入れてよね」
「が入れてくれたほうがおいしいんです」
「一緒でしょーが」
「違いますよ。…愛情が入ってますから」
「今、80%くらい憎しみ入った」
「素直じゃないですね」
「これ以上ないくらい素直だと思うけど」
つれないですね、といって口を尖がらせたLは、私の腰に強くしがみついてきた。そんなLがかわいく思えて私からも抱きしめてやると、気持ちよさそうに目を閉じる。その姿に甘えたがりの猫が浮かんで笑うと、片目だけを開けてこちらを伺ってきた。
「…なんでもないよ」
あのときLを気持ち悪く思ったのは、私が言い当ててほしくないことを言い当てられたからだ。でも今はそれが普通で心地いい。
最近気づいたことがある。
Lは前からずっと自分勝手だけど、私自身も同じくらい自分勝手なんだってこと。あのころの私はみんなに合わせていたけれど、自分で合わせることを選択したけれど、それを不満だと感じていたんだから、こんな自分勝手なことはない。
私がLに引かれたのは、私と同じで、私よりずっと自分らしく生きていたから。
正直私らしくなんてよくわからないけれど、とりあえずLがいればそれでクリアできる気がする。
「……?」
私を見上げてくるパンダ目の彼にそっとキスをすると、くすぐったそうに目を閉じた。
(そばにいてくれれば、それで)
(ali/ve : 小松未/歩)
2008.03.03 monday From aki mikami.