「さんってよくあの人と付き合えますよね」
ホコリのつもるテレビをパタパタはたきながら新八君が言った。何、やぶから棒に。そういったら振り向いて、だってねェ、と口を開く。
「銀さんって女好きだし、さんのことよく悪口言ってるし、鼻クソはほじるし、トイレで手洗わないし。男としてサイッテーじゃないですか」
「ま、良い男じゃないのは確かよね。モテないし」
「じゃあなんで付き合ってるんですか?」
ずいっと身を乗り出してくる新八君。そんなに聞きたかったのか、だとしてもチョット近いよキミ。ビミョーに居心地が悪くて目をそらしたけれど、近すぎて意味を持たず。…仕方ない。私はひとつ息をついてから新八君の問いに答えることにした。
「…女にとって一番最低なのはね、死んで帰ってくることだと思うの」
「はぁ…そうかもしれませんね。でも銀さんなら死んで帰ってきても…」
「おかしくない。死にかけたことはなんどもあるもんね。そー言う意味でもサイテーねアイツは」
ちょっと会わない間に腹に大穴あけてたり、全身ミイラになってたり、行方知れずになったり。何度心臓が止まりかけたかわからない。
「…でもね、 私わかってるから。あいつは女好きでも女できるたまじゃないし、ドS星から来たドS星人だから悪口も本気じゃないし、…汚いのはまぁ、だめだけど…でも、アイツって死なないじゃない」
「…え?」
「悪運強いから」
そういったら、新八君は少しだけふきだして、それからやわらかく笑った。よかった、わかってくれたみたいだ。
「僕、さんのそーいうところ好きですよ」
「はは、ありがと」
「ちょっと待ったァァァァ!!!」
ダダダダ、ダン!とものすごい音をたてて入ってきたのは、ハンディワイパーを買いに行った銀時。うわさをすれば何とやら、ってやつだ。
「新八ィィ!そいつはなぁ、猫かぶってるだけで本当はこえーんだぞォォ!空気読めないしな、それにケーキも作れねーし、それにえーっと…
「よーするに 『はオレのもんだー、お前なんかにやらねーよ』 でしょ?」
銀時の手からハンディワイパーを受け取って、するりと横を通り抜けていく新八君。そのすばやいツッコミに感心する私の目の前で、銀時のあまのじゃくな叫びが響いた。
『ちげーんだよバカヤロォォォォォォォ!!!!』
(万事屋の大掃除をお手伝い/神楽と定春いない、ゴメンネ)
2008.04.09 wednesday From aki mikami.