04. 音



最近Lは、やたらと私の好みを聞きたがる。


趣味は音楽鑑賞だと言ったらどんな曲を聞くのか、どんなアーティストが好きなのか、答えるまで追及する。
ビジュアルロックとクラシックが好きだと言ったら、今度はビジュアルロックとはなんぞやと尋ねられ、答えに苦しむ私に気付いているのかいないのか…。


「…L…いい加減にして…」
「嫌なんですか」
「い や で す !」
「そうですかすみません。…で、ビジュアルロックってなんですか」
「だから何度も答えたでしょっ!」
「不満です。そんな断片的なことを聞いただけで 納得するわけありません」
「だ…断片的って…」
「大体あなたが言った特徴は殆ど見た目の特徴だけでしょう」
「だってビジュアル系と言えばやっぱ見た目でしょ…」
「あなたは見た目で音楽をきいているんですか」
「いや…違うけど…」
「私が聞いているのは音楽的な話です」
「…音楽的」


………そう言われても、はっきり言って困る。


ビジュアル系の特徴なんて、歌詞がメンタル、くらいしか思い付かない。


「…歌詞…が…好き………だけど」
「なるほど。歌詞ですか」
「…何そのなるほどって」
「いえただ あなたがそう言う所を見る人とは知らなくて…以外でした」
「あっそ……」


じろりとLの視線が私を捕らえた。なんだか観察されているようで落ち着かない。


「…な…なによ…」
「いえ…」


Lが髪の毛を少し書き上げてふっと目をそらす。


「…私は、それを歌っているあなたが好きです」
「え…?」
「綺麗な音だと思いました」


みたらし団子を頬張ったLは、ソファの上に落ち着いた。…目線はどこか離れたところを見ている。


「…が歌うならどんな歌も 好きです」
「……ばーか」
「これでも真剣ですよ」
「わかってる。…だから馬鹿だって言ってるの」


私の歌なんて。


「…また歌ってください」
「………気が向いたらね」
「冷たいですね」
「うん」


じろ、とLの目が寄った。それがおかしくて笑ったら、Lも口角をあげた。