20. 計



Lは、良くわからない。


例えば、砂糖。必ず5杯は入れるわけ。私にしてみればありえない。だって5杯なんて…甘くて飲めないでしょう。私はLとは逆に砂糖は入れない派だから、尚更わかんない。でもね、それはまだいいんだ、だって個人の自由だから。でも…


…!」
「わっ、L!危ないでしょ!」


紅茶を運んできた私にいきなり抱きついてきたL。ごめんなさい、と謝るその顔は、少ししゅんとしている。でもまたやるんだな。反省、って言葉を知らないんだから。


彼は、"愛されるより愛したい"派らしくて、良く私に抱きついてきたり、キスしてきたりする。ようするに甘えん坊なのだ。私は逆に"愛するより愛されたい"派だから、持ちつ持たれつでいい関係なのかもしれない。けど…


「毎回毎回不意打ちされたら心臓持たないってば!」


これが本音。だって、お風呂から上がったらいきなりトイレから飛び出してきて襲いかかったり、外から帰ってきたら部屋のどっかに隠れてて後ろから驚かすかのように抱きついたり、食事を運んできたらしゃがみ込んで斜め下からじっと私のことを見つめてたり…


あんたストーカーですか!!って勢いなことも多々。


のこと愛してるんですよぅ」
「わかってる…わかってるわよ?うん、よーくわかります。でもねL…毎回毎回驚かされてたら私の寿命が縮まるわ…」
「驚くだけで寿命が縮まるんですか?」
「例えの話ね?た・と・え!まったくもう、天才なのかバカなのかわかりゃしないんだから」


探偵としては超一流なんだけどな。男としては…三流?いや、四流か…?


…ま、そんなLだからすきになったんだけどね。


私があんまり愛してあげないからこうなるのかな?もしそうだったらもっと愛してあげないとね。


私たちって、足して2で割るくらいが丁度いいのかもしれない。


なーんて思っている私にしがみついてくるLを引きずって、私はさっさと夕ご飯の支度を始めます。









(つまりは、現状に満足ってこと)









2006.10.12.thursday From mamoru mizuki.