28. 火



「熱っ…」


捜査員が残して行ったタバコの吸い殻に、まだ火がついていたらしい。たまたま触れてしまった人差し指がひりひりする。


「……っ、どうしましたっ……!」


私の声を聞いて飛んで来たL。今にも泣き出しそう(に私には見える)顔している。


「あぁ、ちょっと火傷しただけだから大丈夫」
「火傷っ!?なぜ…!」
「ただタバコの火消えてなかっただけだよ」
「……私のに怪我を負わすとは…………」
「ちょ…Lともあろう人が感情で解雇したらだめだよ……?」
「……わかってますよ」


…絶対分かってなかったな、こいつ。だって不満そうだもん。私が止めなかったら、解雇どころか殺しかねん…。


「この程度なら、舐めてれば治るから」
「ですが…」
「あんたは心配しすぎっ。私そんなにやわじゃないから」
……じゃあ、手貸してください」
「ん……?はい」


あんまりにも真剣にいうもんだから、嫌味の一つも言えずに素直に手を差し出した。…すると、Lは赤くなってひりひりする先を、ぱく、と口に含む。


「っ…L……」
「舐めたら治るんでしょう……?」
「や、だからそれ例えね、例えっ」
「そうなんですか…?残念、の傷が早く治ればと思ったのに……」
「……その気遣いは嬉しいよ、嬉しいんだけどさぁ…」


…ねぇ、気付いてますかぃL?


「わ、ワタリが見てるんだけど…?」
「ん……?ワタリのことは気にしなくていいでしょう。そうだな、ワタリ」
「はい、もちろん」


わああぁっ、ワタリ絶対面白がってるよ……!何そのいたずら少年みたいな意地悪い笑いっ!


「……もう好きにしてよ…」


結局いつもこうなるんだよなぁ…。Lの甘甘攻撃に、私が必死で耐える。……はああぁ………。


「? 好きにしてますよ」
「あっそう……もういいから……」
「?? 変な


首を傾げて、じ、と私を見つめるL。もういいってば…見ないでっ、恥ずかしさ倍増するんだから……!


(タバコの火なんかより、Lの愛情に火傷しそう)









2006.10.13 friday mamoru mizuki.