メデューサ。見つめられると石になってしまうという。…Lは、色んな意味でその力があるんだと思ってしまう…彼の目は、とても強い光を放っているから。
私は彼の後ろ姿を見つめていた。チョコレートソースをかなり上からパフェに向けて発射する様子は、何とも言えない。まぁひとことでできるだけ的確に表すなら、…汚い。
でもそれもいつものことで、捜査本部一同慣れてしまった。彼のおやつについてはできるだけ口を挟まない…それが暗黙の了解となっている。
ふと、じろりとした竜崎の目が私を捕らえた。む、と口を尖らせている。
「…さん」
機嫌が悪そうだ。一体どうしのかは知らないが、機嫌の悪い時の竜崎は少し怖い。
「なに?」
「こっちに来てください」
手招きをする竜崎。隣りにいくと、強く腕を引っ張られる。
「…ちょっ、竜崎…!」
抵抗すらする間もなく、抱き締められた。最近妙に甘えん坊だ。
「…好きです」
じっと見つめられる。…いつも思うけれど、竜崎は恥ずかしいことを恥ずかしげもなく言える。
「…わ、私もよ…」
恥ずかしくて思わず目を逸らした。すると、不機嫌そうに横からのぞき込まれる。
「目を逸らさないでください」
「え…な、なんで…?」
「あなたの目を見ていたいんです さんは 恥ずかしいと必ず目を逸らす」
「だって…」
「私と目を合わせるのは嫌ですか?」
嫌なわけがない。でも…竜崎の目はなんだか強すぎて、…見ているだけで、おぼれてしまうようで。
「…いやじゃ…ないよ」
「…………なるほど。わかりました」
「え…?」
竜崎はしがみついている私を離して、目尻をぐっとつり上げた。
「蛇にらみっ」
「…………」
「………」
「……」
驚きで声も出ない。竜崎がそんなギャグ言うなんて。
「…こういうことでしょう」
「え?」
「石にされてしまいそうだということでしょう」
「……えっと…」
「だとしたら、好都合です」
竜崎の言ってる意味がよく分からなくて見やると、緩く口角をあげる。
「あなたの心が私を愛したまま 固まってくれるならそれ以上 嬉しいことはありません」
「っ……キザっ」
またそう言うことを平気で言うのだ。これはもう確信犯としか思えない。…でも、それでも別にいいかなって思っている私は、結構重傷だろう。
(本当に蛇にらみなんてしてくれればいいのに)
2006.11.10 friday From mamoru mizuki.