46. 病



ワタリが私たちに気をきかせて二人にしてくれたみたいで、彼の気配がしない。私にしてみれば是非ここにいて欲しいんだけどな。


今布団の中でごろごろしている私。理由は風邪。つまりは病気なんだけど、Lにとっては病気なんてまったく関係ないわけね。私が病気だろうがなんだろうが、抱きつきたいときは抱きつくし、キスしたいときはキスするわけ。まだその先に行かないだけいいけど、風邪の人間とキスなんかしたらあんたも風邪引くよ?


そうLにいったけどもっちろん聞く耳もたんですたい。えーかげんにせいって軽いノリでつっこんだら、こそいい加減に覚悟決めてください、何て言われましたよ。


まったく、何て勝手なんだこいつは。


「あんたまさか、病人を襲う気?」
「風邪で体温があがってるからこそ…」
「ばかっ!」


ぐぐぐ、と引き離すと、Lはむ、と頬を膨らませる。いや、かわいこぶってもだめですよ。お姉さんは許しません。って何だこのノリ。


ー」
「まったく…風邪のときくらいゆっくり寝かせてくださいな、Lさん」
「いつも何もさせてくれないくせに…」
「あーもう、わかったわかった!なおったらいくらでもさせてあげるから!」
「…本当ですか?」
「本当本当!お願いだから上に乗っかるの止めてって」
「はい」


やっとベットから降りてくれました。ほんっとに世話が焼けるんだから。


「…
「なぁに?」
「……早く治ってください」
「はいはい。だったら私のためにお水持ってきてください?」


はい、と言ってLは離れていく。…心配してくれてるのはわかってるんだけどな。だって、いつもより目が情けないんだもん。純粋に嬉しいんだよ、心配してくれるのは。


コップを持って戻ってきたL。ベット脇の椅子に座って、じ、と私を見つめる。コップを受け取って中身を飲み干して、それでもまだ心配そうな目を向ける彼に、思わず笑みが漏れた。


「ありがと、L」


頭を撫でてやると、彼は私に甘えるようにして寄りかかった。こんなんじゃ、多分仕事も手につかないんだろうな。だったら早くなおさなくっちゃ。


(治ったら襲われるんだけどね)









2006.10.12 thursday From mamoru mizuki.