昨日、偶然通った花屋さんの前に置いてあったから勝って来てしまった。
「…?…サボテンですか?」
「うん。なんか買っちゃった」
「育てるんですか?」
「そうじゃなきゃ買わないよ」
ごもっともです、と呟いたLは私の隣りに座った。ソファが彼の重さ分沈み込む。
「…がそう言うのがすきなんて知りませんでした」
「好きってわけじゃないよ。ただの衝動買い」
「って植物育ててるイメージないです」
「散々な言いようね、L?」
「けなしてるわけじゃないです」
「そうとしかとれないんだけど?」
「だって前に、ペットは嫌いだって言ってませんでしたか?」
確かに言った。…動物は好きだけど、ペットは絶対嫌だと。…どうしても、支配するされるの関係が成り立ってしまうから。
「確かに言ったけど…でも、動物と植物は別でしょ?」
「そうですか?」
「支配するのは嫌なの。でも依存されるのは好きなの」
「…そうなんですか?」
「そうなの」
私の言葉が不可解なのだろう。人差し指をくわえてじっとこちらを探るように見ている。
「…そんなに見ないでよ」
「あぁ…すみません」
さして悪いとも思っていなさそうに言ったL。その反応が面白くなくて、私はサボテンを目の前から取り上げようと手を伸ばした。…その指先に、チクリとした感覚。
「痛っ…」
見れば刺さってしまったトゲ。それを見て、Lがくすりと笑った。
「どうやら依存していてもしっかり反抗はするようですね」
「…ほんと、誰かさんみたい」
私がいないとだめなくせに、そうやって私のことバカにするんだから。
(そんなだから好きなんだけどね)
2006.11.13 monday From mamoru mizuki.