02.机の落書き



「やっほー、こーくん」


早弁中のオレの机に楽しそうにもたれかかった。一体何をしに来たのか、よくわかんねーけど、大したようではないだろう。


「んだよ、
「あのね-、今日部活終ったらねー」
「お前ん家寄れって?」
「うん。おかーさんがね、こないだの試合のビデオ返したいからって」
「おー、わかった」


別にに預ければいいのに。叔母さんは何かとオレを家に呼びたがる。ま、歩いて5分だからいーけど。


じゃ、一緒に帰ろうね。そう言いながら、は楽しそうに笑った。…のはいいガ、人のシャーペン勝手に使って、人の机に何か書いてやがる。


「おい、何書いてんだよ」
「ん?あのね、メッセージ」
「なんのだよ。口で言やいーだろ」
「んー。口で言うのもいーけど。書いたほうがかわいいかとおもってね」
「意味不明」
「つめたいなぁー、もう」


子供みたいに頬を膨らませながら、書いた文字をオレのペンケースでかくした。そのとき丁度チャイムが鳴って、先生が入ってくる。みんなと同じように、も自分の席に戻っていく。


何となく、すぐにみるのは気が引けた。先生が話しはじめて(オーラル)、今日の内容とか、例文とかを黒板に書き始める。買い物に行ったときの会話、とか書いてあるけど、まけてください、なんて日本でも滅多に言わないのに、英語でわざわざ言うかよ。これだから日本の英語は実用性ねーとか言われんだよな。そんなことを考えながらも、オレの手はペンケースからはずれない。なんだよ、どうせ大した言葉じゃねーんだろ、隠すなよ!…すげぇ、気になんじゃん。


ペンケースをよけて見た。何でこんな期待してんのかな、オレ(期待ってなんだよ!)。


   練習がんばれ こーくん v


丸っこいこまごました字で、そう書かれていた。ハートマークなんかつけるなよな。でも…まんざらでもないとか思っちまうオレって、重症かもな。


「あれ、なんだよニヤニヤしてー!」


たぶんペアになるのによってきた浜田が、オレを見てニヤついた。


「うるせぇ!ニヤニヤなんかしてねぇよ!」


くそ!一番見られたくねーやつに見られちまったな。しかもまで笑ってんじゃねぇか!ちくしょー!


今日の帰り、死ぬほどいじめてやるから覚悟しとけよ!









2007.08.10 friday From aki mikami.