03.先生と



さんってさ、大野先生と付き合ってるのかな?」
「…………はぁ?」


クラスの女子がオレを見て、ねぇ、とよびとめたと思ったら、真顔でそんなことを聞いてきた。


「んなわけねーじゃん。教師と生徒だぜ?」
「そーなんだけどさ、今けっこー噂になってんだヨ。学校でもホラ仲いいし、しかもね、二人で買い物してたんだってー!」
「え…マジ?」
「マジマジ!」


そんな話、オレは少しも聞いてない。いや、本当だったら人にはいえないだろうけど。でもあいつは今までどおり、こーくんこーくんって寄ってくる。…男が出来たなんて、知らない。


「私、泉くんと付き合ってると思ってたから、なんか意外でさー」
「っ、付き合ってねぇよっ」
「え…うん、ゴメンゴメン。でも、すごいよね、先生って」
「…」


何も返事が出来なかった。ぼんやりしていると、向うから田島がやってきて飛びつこうとする。それをわかっていてもよける気力がなくて、そのまま田島と二人で床に倒れ込んだ。


「うお、泉!?」
「あ、あわわわわわわっ」


浜田と三橋が駆け寄ってくる。他のクラスの奴らも、何ごとかと振り返る。その中の―――丸く目を見開いたと目が合った。


「っ、こーくん…!?田島くん!?…大丈夫?」


友達そっちのけで駆け寄ってくる。田島が笑いながら立ち上がると、浜田が呆れてため息をついた。


オレは、なかなか立ち上がれなかった。そうしたら、心配したがオレをのぞきこんで、大丈夫?と何度も聞いてきた。


…いてもたってもいられなくなった。の手を掴んで立ち上がり、ムリヤリひっぱって屋上まで連れていく。ドアを閉めてに向きなおると、きょとんとした顔でオレを見ていた。


「…こーくん?」
「…付き合ってんのかよ」
「え?」
「大野と!付き合ってんのかよ!」
「え、お、大野って…大野先生?」
「他に誰がいんだよ」
「ちょ、何でそんな話になってるの?」
「いーから答えろよ」
「付き合ってるわけないじゃん」
「でも!一緒に買い物してんの見たヤツいるんだぞ?」
「え?…あー、前に一度街であって、先生も薬局行くって言うから一緒に行ったけど…それ?」
「は…それだけ?」
「それだけだけど…」


ぷすん、と頭から空気が抜けた。途端、今まで怒ってた自分が恥ずかしくなって、に思い切り背を向ける。


「え…何、もしかしてこーくん…ヤキモチ?」
「ばっ…!」
「ヤキモチだー!うわ、なんかウレシイかも!私のこと好きってことだもんね?」
「ちっげーよ!オレは幼なじみとしてだな…」
「いーからいーから」


…その後、ルンルンなに付き合って一時間サボらされ、先生にこってり怒られた。その上クラスのやつらにはからかわれるし、サイアク…しかも誤解であったことにひどく喜んでる自分がいて、余計に苛ついて、回りに当り散らしてやった(くっそー!)。









2007.12.24 sunday From aki mikami.