母親に聞いた話なんだけど。
小学校のとき、「バナナは遠足のおやつに入るのか、それともご飯になるのか」で真剣に議論になったことがあるという。そんなことどうでもいい、と思うんだけど、それを決めないと子供の間でけんかになるんだそうだ。でも確かに、お弁当にデザートを入れてもらってる子がいたら、おやつおやつってみんな言っていたし、そういわれることで泣いちゃう子だっているんだから、大事なことなんだと思う。結局、タッパに入ってればご飯、直に持ってくればおやつ、ということになったんだけど…。
実は私も、昔言われたことがある。例のごとくお母さんの実家から送られてきたみかんを遠足にそのまま持っていって、別に200円分のおやつを持っていったら、「ちゃんが200円以上のおやつもってきてるよー、せんせー！」なんてちくられたりして。そのとき私は、先生にすごく怒られたんだっけ。
「ねー、覚えてる、こーくん？」
「あー？なんのこった」
「またまたー、覚えてるくせにぃ」
「覚えてねって」
あのとき、こーくんが助けてくれなかったら、泣き虫だった私は大泣きしていたと思う。どう助けたかって、それがまた子供くさい助け方なんだけど。
『これ、実はオレのなんだよ！』
そういって、こーくんは私の持ってきたみかんを一口でペロリ。全部食べてしまったってわけだ。結局、こーくんは持ってこさせたことに、私は持ってきたことに、それぞれに対して怒られたんだけど。でも一人で怒られるよりずっと心強くて、私は泣かずにすんだんだと思う。
「ありがと」
「そー思うんならみかんとってきて。まだ残ってんだろ」
「私はパシリじゃなんですけどー」
「せっかく助けてやったのになぁー」
「何よ、覚えてんじゃない！バーカ！」
「うっせー！」
マンガから顔を上げたこーくんにおもいっきり"あっかんべー"をしてリビングに向かった。かごの中に半分ぐらいはいったみかんを２つ引っ掴んで部屋に戻って、寝そべるこーくんの背中に思いっきり乗っかったら、顔を真っ赤にしながら抵抗してきたのでしぶしぶ降りてやる。みかんを渡しながら肩に寄りかかったら、今日は珍しく抵抗しなかった。
「あ、嫌がんないんだ」
「嫌がってほしーかよ」
「いやいや、そんなことはありませんよ」
「ならいーだろ」
「うん！」
高校には遠足がないのがざんねん。っていったら、軽く頭をたたかれた。また怒られんだろ、お前、なんて心配してくれるのが嬉しい。
ありがと、っていったら、また頭をたたかれた(今度は本気？なんでー！)
2008.01.06 sunday From aki mikami.