「た、…高瀬くーん!」
愛する彼女に呼ばれて振り返ると、廊下の向うから全速力で走ってくるのが見える。あのままだとヤバイ。ぜってーどっかで転ぶ…と思った途端に、本当に顔面からすっころんだ。
「きゃっ…!」
「っ、!」
抱き起こしてやると、へへ、と締まりのない顔で笑う。
「へへ、じゃねーよ!ヘッドスライディングしやがって…」
「ご、ごめん!でも…私、一番に伝えたくって…」
ぎゅ、とオレの制服を掴む。うわ、かわいい…けど、今はそれどころじゃない。落ち着けオレ!
「どうした?なんかあったのかよ?」
「あ、あの…ね、明日…高瀬君、試合…だよね?」
「あぁ、そーだけど…」
「でね!明日、応援行くから…が、がんばって、ね」
真っ赤になって俯いて、オレの手をぎゅっと握る。だからっ…!かわいいんだよお前は!
あまりにかわいくてつい、学校だってことも忘れて力いっぱい抱きしめた。
「わっ、た、高瀬くん…」
「さんきゅーな。オレ、がんばっから。…ちゃんと見てろよ?」
「う、うん!」
大きく頷くと、はオレから離れて全速力で走っていった。
「バカ、廊下走んなって!」
「ご、ごめんなさーい!」
謝りながら止まらないのは…照れてるんだろうけど。そんなところもかわいい、何てのろけてる場合じゃねえよ!
オレは再びヘッドスライディングするに全速力で駆け寄った。
2007.12.27 thursday From aki mikami.