24.今週の給食当番



今日は母さんがいない…ってのをどこからかぎつけたのか、家に帰ってしばらくしたら、なぜか勇人からメールがあった。私一人だとろくにご飯も食べないだろうって、わざわざ部活帰りに来てくれるらしい。ハードな練習で疲れてるんだから、別に来てくれなくてもいいのに…とか思うけど、家の中に一人放り出される寂しさが身にしみているから、そのメールにうん、と返すしかなかった。


私は、自分で思ってる以上に寂しがりで、弱い。だから、いつもいつも勇人に甘えてしまうんだ。勇人もそれをわかっているから、私のことを放り出したりしない。


仕方ない、今日は私が作ってやるか。なんて思いついてしまって、冷蔵庫の中を見たけど、…なんでこう、食品と呼べるものが入ってないんだろう。調味料とか、飲み物とか、酒とか…なんかもう、あんたらどうやって生活してきたんですか、って感じの中身だ。残り物ですら入ってないんだから。ある意味ではやりくり上手?けど、これじゃあ何も作れない。仕方なく、私は近くのスーパーまで買い物に行くことにした。


特に献立も決めずに家を出る。6時だというのに、太陽はまだあんな高い位置にある。色づきかけた空が、頭上に広く広く広がっていた。


そういえば。突然ふっと、小学校のときのことを思い出した。確か2年生のときだ。


私は食べるのが遅くて、おまけにあんまりたべれなくて、いつもいつも休み時間までかかってしまっていて、それを先生に何度も注意されていて、学校でご飯を食べるのがいやになっていたときだ。給食当番のときなんて特に遅くて、それこそみんながグラウンドから帰ってくる直前にやっと食べ終わって、いつも一人で後片付けをしていた。


だけど、あるとき、隣のクラスだった勇人が突然やってきた。そして、一人で食べ続ける私をみて、のこしちゃえばいいのに、といった。


そんなことをいってくれる子はクラスにはいなくて、当然先生だって全部食べなさい、なんていってきて。だから勇人の言葉は、たとえ自分のクラスの方針を述べたのだとしても、とても嬉しい言葉だった。


次の日から私は給食を残すようになって、で、だんだんと、食べれない分はとらない、ということを知るようになって。そんな風に、少しずつ給食が楽しくなっていった。今考えると、ほんとにくだらないことなんだけど。


「…そーだ」


今日のメニューはピラフにしよう。と突然思ったのは、そのときのメニューがピラフだったから。きっと勇人は覚えてないだろうけど、私一人、なんとなく優越感に浸れるから、それでいい。


私は悠々と、スーパーへの道を歩いた。









2008.01.06 sunday From aki mikami.