53.君とペアで英会話



オーラルの時間は、私にとって一番嫌な時間だ。その理由は…


「はーい、じゃあ今の所隣の人とペアになって練習してねー」


そう、"隣の人とペアにならなきゃいけない"からだ。


ー!ほらペアになるんだぞーペアー!こっちむけよー!」
「いや。何であんたの方なんて向かなきゃいけないの」
「だからペアー!」
「別にそっち向かなくてもいいでしょ。またセクハラするんだから絶対あんたの方なんて向きません!」
「セクハラなんてオレしたっけ?」
「いつもしてるでしょうがいつも!」


あぁ、もう、イライラする。自分でセクハラしてる自覚もないなんて。いつもいつも人のスカートめくったり、ブラのホック外したり、髪を結い上げてるときにうなじ!とか言いながらすりついてきたり、階段でいきなり飛びついてきたり。学校だから膝蹴りで済ませてあげてるけど、外でそんなことやったら高層ビルの屋上から一本背負いで下に落っことしてやる。っていうか、田島と付き合い出してから今までずっとならってた空手の技よりも、柔道の技をかけることが多くなったような。


「ホラホラこっち向いてー!」
「いや」
「素直じゃねーなー!」
「いや、素直な気持ちだよ、これ以上無いくらい」
「なんだよー!こっち向いてー!プリーズカムヒアー」
「…は?"こっちきて"って何よそれ。やっぱりあんたって馬鹿だね」
「わかってるよー。いーんだよ、こっちにも来てほしーもん」
「…はぁ。もう何よそれ」
「オレはホントのこといったんだぞー!それに!はわかるのかよ、こっち向けって英語でなんていうのかー」
「……………えーっと」
「あ、わかんねーんだー」
「う、うっさいな!たしか…turn aboutで振り向くじゃなかったっけ?」
「そうなの?」
「や、確か確か。…もういいよ。それより早くやろうよ」
「おう。だからこっちむけー!」
「いや」
「えー!」


こんな出口のないスパイラルな会話を繰り返して、結局練習なんて出来ませんでしたとさ。


そしてそれをしっかり後ろで見ていた先生が、私たちペアを当てて、田島がぼろっぼろに先生になじられてたことは、もう言うまでもありません(いい気味だー)。









2007.07.02 monday From aki mikami.