「先生~♪」


ちゅ。


いきなり走って来たが、私の方に体を伸して突然口付けて来た。


「、コラ!」
「なぁに?」
「私は今仕事中だ」
「ぅ…ごめんなさぃ…」
「はぁ…いきなりなんだ?」
「……別に、したかっただけですよ」


からそんな積極的な台詞が出るとは。あまりにめずらしい。いつもは恥ずかしがってキスどころか、抱き締めるのもいやがるのに。


「本当は何かあったんじゃないのか?」
「えっ?べ……別に…?」
「嘘をつくな嘘を。顔に書いてあるぞ、余計なことを吹き込まれましたってな」
「うぅ…」


しゅん、とうつむく。私のワイシャツを掴んだままはなさない。


「別に怒ってるわけじゃ…
「―――キスしたら、先生浮気しないかなって思って」
「…は?」
「最近女の患者さん多いし、先生モテるし…」


…どうやらにも、ピノコのような感情があったらしい。それとも吹き込んだのはピノコか?


「浮気されちゃうわって、ピノコが…」
「………(やっぱり)」


余りに予想通りで、心底呆れる。だがまぁ、最近は仕事ばかりで構ってやれなかったのも事実。…私はをぐいとひきよせると、さっきののなんかより数倍深いディープキスをしてやった。翻弄されるがますます強く私の服を掴む。さすがに息も上がってかた所で離れると、必死になって息を吸い込む姿。


「まったく。…続きは後でしてやるから、今はあっちに行ってろ」
「っ」
「…不満か?」
「ううん!ありがと、先生!」


一気に機嫌がなおったらしく、スキップをしながら診察室を出て行った。子供は単純でいいなと思う反面、今にも歌い出しそうな自分がいて、なるほど、自分も単純なんだと改めて思った。


私もあれぐらい積極的にいくか。今夜あたり強引にいくかな…