「どこがいいのかしら、あんな野蛮な人」
「は、野蛮ではありません」
どこか怒ったように、白馬が言った。女子二人はどうやらたじろいだらしく、小さく、え、ともらす。
「彼女は野蛮なんかじゃありません。口は悪いけど礼儀正しいし、きちんとした文化教養だって身についてる」
「…白馬」
思わず、自分から出て行ってしまった。
「それくらいにしてあげなよ。ちょっと怖がってるよ、その子たち」
「…でも」
「別に、私は本当に野蛮だから。なに言われても気にしないよ」
そう、私は本当に野蛮だから、仕方ない。でも、白馬にかばって貰えたことが嬉しくて、彼の前まで行くと、女子二人に向けて一礼した。
「申しわけありませんでした。…失礼します」
野蛮なら、こんな台詞ははけないだろう?そんな精一杯の嫌味を込めて、そういった。そのまま白馬を引っ張って、今来た階段をのぼる。
「…」
「あんた…ばかでしょ?」
「何故ですか?」
「私なんか庇って…立場悪くなったらどうするの?」
「貴方を庇って立場が悪くなるなら本望ですよ」
「この大馬鹿!」
私は白馬を思い切り蹴り飛ばした。ずるずると引きずって、屋上まで連れていく。
「…あんたのそう言うところ、嫌い」
「すみません」
「ばか!謝ってほしいんじゃないの!」
謝ってほしいんじゃないし、直してほしいわけでもない。ただ、もう少し考えてほしいの。
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