「どこがいいのかしら、あんな男勝りな人」


男勝り。それは、幼稚園、小学生、中学生、そして高校と、生まれてからずっと言われ続けてきた言葉だ。だから慣れていたはずなのに、改めて言われると心にずしりとのしかかった。


私と白馬は、合わないんだって、言われているようで。


「…確かに、彼女は口が悪くて、活発で、女性よりも男性の方が気が合うのかもしれません」


白馬が言った。心がきりつけられたように痛む。…やっぱり白馬も、私のことを男勝りだと思っていた。そのことに、驚くほどショックを受けている。


「…でも」


でも?まだ続きがあるらしくて、白馬はゆっくりと口を開いた。


「僕は、彼女が男勝りとは思いません。一緒にいればわかる…はとても可愛い女の子ですよ」


白馬はそういうと、女子二人に軽く会釈して踵をかえした。足音がこちらに近づいて来る…けど、私は逃げることが出来なかった。その場に座りこんで、何もいえなくなっていた。


だって、私が可愛い女の子、なんて。


「…?」


頭上から、そんな声が降ってきた。顔はあげずにみた足元は、紛れもない白馬。


「もしかして…聞いてた?」


声に出さないで、ただ頷いた。


「そうか…」


白馬の両手が、私の肩に触れたのがわかった。そのまま優しい手つきで私を立ち上がらせて、抱きしめる。けど、急に体が離されて、何ごとかと思ったら、今まで白馬が話していた女子生徒と目が合った。


は、こんな風に泣くんですよ」
「なっ、白馬!」


泣いているところを見られるなんて恥ずかしくて身じろぎしても、強い力で押さえつけられてて離れられない。


「…男はこんな風には泣けませんよ」


その言葉に、女子二人は呆気に取られているようだった。そのままわけもわからずにずるずる引きずられて、止まったらすぐに口付けられる。


なんだかよくわからないけど、とにかく私は、ちゃんと女の子として愛されてるらしい。口内を荒らす舌に、私は精一杯、答えた。


もう、うざいとか、しつこいとか考えられないくらい、ずっと彼に夢中で、恥ずかしいけど、でもそんな風になれる自分が嬉しかった。


Ending 6
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夢中

探くんは策士だけに、他人が考えないようなとんでもないことをしでかしそうです。