目が覚めるとそこは、学校の保健室だった。で、目の前には心配そうに顔をのぞいてくる白馬が入る。


!目が覚めましたか!」
「…うん」
「よかった…調子はどう?」
「大丈夫」


ボールがぶつかって倒れるなんて、情けない。苛々して、素っ気無い返事を返した。でも、白馬はそんなこと全然気にしていないようで、本気で安心した顔で、小さく息をついた。


「僕がそばについていながら…すみません」
「別に。あんたのせいじゃないから」
「いえ、僕はすぐ後ろにいたのに助けられなかった…」
「私が弾かないでよけてればよかったんだよ」
「でも、反射的にそうしてしまったのですから、仕方ないです」
「……もう、いいよ」


苛々して、またいやな言い方になってしまった。


…?」
「謝りすぎ。もういいから」
「はい…」
「あんたさ、気使いすぎなんじゃないの?」


これ以上言ったらいけないと思うのに、どうして口が開いてしまうんだろう。


「なんかさ、あんまり気使われすぎるのもいやなんだけど」
「はい…」
「別に私お嬢様じゃないんだから」
「…はい」


白馬の顔が、真剣な表情になっていく。私の言葉をきちんと、真正面から受け止めているようだ。ただの苛々のはけ口、ただの八つ当たりなのに。


「……い」
「え?」
「もういいや。何でもない。ごめん、本当ごめん」


情けなくて、涙が出た。馬鹿みたいだ。白馬にあたって、どうするつもりなの?


、泣かないで…」
「泣いてない」
「泣いてる」
「泣いてないって」
「泣いてる。…僕のために、泣かないで」


そう言って、白馬は私の涙を拭った。けど、優しくされればされるほど、自分が情けなくなる気がする。だからって、冷たくして、何て怖くていえない。


結局、この悪循環から抜け出せないまま、私は泣き続けてしまった。


Ending 9
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情けない

バッドエンド。自分のことが嫌いなヒロインが、自分のことを更に嫌っていくってことで。