それからしばらくの間、は森の中をさまよって、気がつくともうすぐ日が暮れようとしていた。仕方なく、そろそろ戻ろうとしていたとき…


「っ!!」


ねっとりと絡みついてくるような気配。それも一つや二つではない。10、20…いや、もっと多い…


「よ、妖怪っ!」


気がつくと、は妖怪の群れに囲まれていた。雨月刀を構えるが、一人で対処しきれるかどうかわからない。しかも…


大多数は雑魚だが、一匹、かなり手強そうなのが混ざっている。


「人間の娘か…久々の馳走だ」


ぐぐぐ、と気持ち悪く喉がなった。


「わ、私を…食べる気?!」
「当たり前だ。近頃さっぱり人間どもが来ないからこっちは腹減ってんだ」
「っ、たべられて溜まるもんですかっ!!」
「人間一匹に何が出来る? かかれっ!!」


を囲んでいた妖怪達が、一斉に襲ってくる。は雨月刀をグッと強く握った。だが、その瞬間、の後ろから蒼い光が走ってきて、次々と妖怪達を薙ぎ倒していく。見覚えのある光。


…振り返るとそこには…


「っ!殺生丸!」
「…雑魚は消えろ」
「っ!ひぃい!」


殺生丸の姿を見た妖怪たちは、恐れをなして逃げていく。は、彼の姿を茫然と見つめていた。


「…
「っ、は、はい…」
「なぜこんなところにいる」


殺生丸は、心なしか怒っているようだった。は彼の表情を窺いながら、口を開く。


「…殺生丸を、捜しに…」
「私を?」
「うん…」
「なるほど…私のことを信用していなかったと見える」
「そ、そうじゃないよ!」


確かにおいていかれたらいやだ、とは思っていたが、殺生丸のことを信用していなかったわけではない。


「私は…


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