「殺生丸に、会いたくて…」
「たったそれだけの理由で来たのか?」
「そ、それだけって!!」
「…


低い殺生丸の声が、の名前を呼ぶ。左腕を引っ張られ、勢い余って彼に倒れこむと、強い力で抱きしめられた。


「…せ、殺生丸…?」
「黙っていろ」


そう言われると、なにもしゃべれなくなる。が黙っていると、彼は少しだけを離して、彼女の頬をゆっくりと撫でた。


「奈落に会ったな?」
「あ、うん…途中で…」
「……何かされたか?」
「う、ううん…大丈夫…」
「そうか、なら…」


殺生丸は、そこまでで言葉を止めてしまった。慌ててひっこめたようにも思える。は首を傾げた。


「何?」
「…なんでもない」
「なによ。そこまでいいかけておいて。気になるじゃない」
「気にするな」
「気になるよ。…もしかして、よかったって


思ってくれたの?と訪ねようとしたが、言葉の続きを発することが出来なかった。


殺生丸の唇が、の口を塞いだから。


「……黙れ」
「な…」
「行くぞ」


すっとから離れると、殺生丸はさっさと歩き出してしまう。は顔が熱くなっていくのを感じながら、必死で彼を追いかけた。


Ending 9
------------------------------
口付

甘い二人って最近書いてない気がします。一応これがHappy endです。
【s】