Merry Christmas!! 12/25



せっかくのクリスマスに受験勉強なんていらないと思ったけど、殺生丸が忘れないうちに数学だけでも復習しておけっていうから仕方なく部屋に籠って勉強した。で、ようやく勉強を終えて部屋を出ると、廊下もリビングも、何故か電気が消えていた。

右を見ても左を見ても真っ暗。殺生丸の部屋すらも、電気はついていないようだ。


私は部屋に戻って、枕元にある携帯を手にとった。…連絡はなし。出掛けるときは必ず教えてくれるのに。…コンビニにでも行ったんだろうか?


そんなことを考えていると、突然電気が消えた。びっくりして顔をあげると、背後から気配が近付いてくる。…ひやりと嫌な汗が背中を伝う。


…実を言うと、私はオバケの類が大の苦手。しかもこんな真っ暗で、一人で…怖いけど、このままじゃダメだ!


意を決して振り返ろうとすると、いきなり後ろから体を掴まれ…否、抱き締められた。思わず悲鳴がもれたけど、鼻を微かに刺激するこのタバコの匂いは…


「…うるさい」
「せ、殺生丸…!」
「…なんだその反応は」
「オバケかと思ったァァ…」
「バカが」


そう吐き捨てると同時に、首筋に温かい唇が触れる。…その温もりが心地よくて、私は目を閉じ…そうになって、はたと気付いた。


「殺生丸…出掛けてたんじゃないの?」


さっきまではいなかったはずなのに。


私の問いに気分をそがれたようで少し機嫌の悪くなった彼が、私の髪を梳きながら答える。


「ずっと部屋にいた」
「え…でも電気が…」
「…外を見ていた」
「外?電気消して?」


何で?そう思った私を無視して、殺生丸は私を窓の方へと促した。いいから見てみろって事なんだろうか?抵抗することもなく窓の前まで歩き、殺生丸がカーテンを開ける、…と。


「…わッ…!」


窓の向こうには、きらきらのイルミネーション、そこに真っ白な雪が降り注いでいた。


「……キレー…」
「お前は…こういうの好きだろう」
「うん、大好き。…ありがと」
「…
「ん?」


少しだけ振りかえると、唇が耳に寄せられる。…そして囁かれた言葉は、殺生丸らしくない言葉だけど、…クリスマスプレゼントにしては豪華すぎると思った。


「私もだよ、殺生丸」




(『…愛してる』)


クリスマスくらい甘い言葉を吐いてもいいのではないかと思います。いわないと伝わらないこともありますしね。









2009.01.01 thursday From aki mikami.