Merry Christmas!! 12/25



明智さんの彼女なんだから、こんなことでへこたれちゃいけない。…そう思ってぐっと寂しいのを堪えているけれど、やっぱり寂しいものは寂しい。…一人でいるときくらい、そう思っても良いよね。


12月25日、世の中のカップルはみんなクリスマスを楽しんだというのに、私は肝心の彼氏・明智健悟が急な仕事で、楽しい時間はお預け。刑事って言う仕事柄休んでられないのはわかってるんだけど…割り切ってても、やっぱり気持ちは寂しい。


そんなクリスマスから二日たって、今日27日。私たちは漸く二人きりのクリスマスをすごすことになった。少しおめかしして待ち合わせ場所に出かけたら明智さんが迎えに来てくれて、コバルトブルーのBMWに乗って明智さんの家へ。着いたらすぐに二人で料理を作って、買ってきたケーキを広げて…まだ未成年だけど、お酒も用意した。


「遅くなってゴメン」
「ううん、大丈夫。気にしないで」


そんな会話の後、二人で乾杯をした。明智さんはなんだか機嫌がよさそうで、そんな明智さんを見ていると私もなんだか嬉しくなった。…けど。


私が飲み物に口をつけたとき、明智さんの携帯がなった。…また?そんな想いが頭をよぎる。明智さんが席を立って、リビングを出たところで電話に出た。その会話の内容は聞き取れないけれど、表情から多分剣持さんだろうことがわかる(うんざりした顔をしている…)。そして電話を切って戻ってくると、ふぅ、と一つため息をついた。


「すまないね。剣持君だ」
「やっぱり。どうしたの?」
「どうしても明日までに提出しなければいけない書類があるんだが…それをね、チェックしろってことらしいよ」
「…じゃあ、出かけるの?」
「いや、ファックスで送ってもらうよ」


そういいかけたとき、また電話がなった。受話器をとらずに放っておくと、やがて紙が排出されてくる。…私はそれを見ながら、気づかれないくらい小さくため息をついた。


いつもそうだ。明智さんは私のために、忙しい仕事を空けてくれている。…私が、明智さんに迷惑をかけている。だから、せめてこんなときは、寂しくてもそんな顔見せちゃいけないんだ。明智さんのことだから、きっと申し訳なく思うに決まってるんだから。


明智さんは流れてきた紙を取り上げると、それをそのまま電話の上に置いてテーブルに戻ってきた。


「…あれ、今見るんじゃないの?」
「いいんだ。剣持君にも後で送るといってあるしね」
「…私に気、使わなくて良いよ」
「そんなんじゃない。ただ今は食事中だってだけだよ」


机を挟んだ向こうから、明智さんの優しい手が伸びてきて私の頭に触れる。


「…
「はい」
「一緒にいるときくらい…我慢しなくて良いから」


心を見透かされたような気がして、ドキッとした。


「え…?」
「いつも寂しい思いをさせてるのはわかってる。…だから、せめて一緒にいるときくらいは思い切り甘えて欲しい」
「…明智さん」


やっぱり、ダメだな。…私がいくら強がっても、明智さんにはすぐばれちゃうんだから。それがすごく悔しいけど、でも、私をわかってくれていることがとても嬉しくもある。…なんて、ちょっとバカみたいだけど。


「…ありがとうございます」


するりと頬に触れる温かい手に目を閉じると、優しい唇がふってくる。寂しかった二日間を埋めるように首に絡み付いて、何度も、何度も舌を絡めた。




(無駄な強がり)


やっぱり社会人と付き合うのは大変です。ええ、大変なんですよ。…なーんて叫んでみる(ぇ)。









2009.01.01 thursday From aki mikami.