広い広い背中を眺めた。溜め息をついたら、振り向かれた。口を開いた彼は、私の背中がそんなにつまらんか、と尋ねて来た。とんでもない、と言うと、それはそれで複雑だ、といわれた。


別に殺生丸の背中に溜め息をついたわけじゃない。ただ疲れたっていうか、何ていうか…今私、ちょっと鬱になってる。


そう彼に説明したら、なぜだと問われた。…なぜかって、それが分かればいいんだけどなぁ。わかんないから私困ってるの。


殺生丸は私の方に顔を寄せて来た。わわ、びっくりするじゃん。顔が赤くなっているのが、ばれませんように。


理由もなく鬱になるはずないだろう。…いや、まぁ確かにおっしゃる通りなんだけども。でもそれが自分で分かるかっていうのは別問題。自分は気にも止めてないはずのことが実は大きな打撃になってたりして。


だから人間心理学なんてもの出来るんじゃないか。そう言ったら人間心理学がわからないらしい殺生丸が、首をわずかに傾げて私を射抜いて来た。や、その視線怖すぎですから。


人間の心の働きについて詳しく勉強するんだと言ったら、そんなことをしてどうする、呪いでもかけるのか、と、彼としては大真面目、私にしてみればすっ頓狂なことを言われたので、あぁ、まぁそこまで恐ろしくないよ、とおしえてあげた。


……なんかもう鬱なんてどうでもよくなって来ちゃった。


私が何で悩んでいるのか分かったもんじゃないけど、隣りにいる人が実は天然さんで、今は私を気遣って(るというより興味をもって?)いるのは確実。それだけでもおっきな事じゃないか。


そう言ったら、殺生丸は私の肩を乱暴に押し目を合わせないように歩いて行く。そんな彼の姿がまるで人間みたいだなぁって思ったら、今までの憂鬱が全部はれたみたいだったから、もしかしたら私の悩みは殺生丸が原因だったのかもしれない。


そうやって考えて行くと、やっぱり私の悩みを解決できるのはいつだって、殺生丸、なんだなぁ。









アトガキ。

web拍手ありがとうございます。
この話、ちょっと気を遣って書いてみました。
気を使ったところは、「」を使わないってところ。会話分がひとつもありませんよね。ほとんど主人公の頭の中で考えていること。それと、会話があっても主人公の立場で、彼の言葉を聞いた、それに対して返した、みたいな感じにしてあります。

こんなわけのわからない話ですが、読んでくださりありがとうございますvv
これからもこんなサイトをよろしくお願いします。

PS. 名前変換なくてごめんなさい(汗









2006.09.25 monday From aki mikami.