「殺生丸ー」
広い広い背中を見ながら呼びかけると、少し不機嫌そうに振りかえる。
「…なんだ」
「抱きついてもいい?」
「……」
ピシ、と動きを停止した殺生丸。
…うーん、まァなんとなく予想してたよ、その反応。でもいい加減なれてくれてもいいのに。だって恋人になってもう結構経つよ?っていっても一年は経ってないけどさァ。…やっぱ殺生丸にとっての一年って、私で言う一ヶ月くらいなものなのかな。もう何百年も生きてるし…。
って、今はそんなことどうでもいい。
「ねェ」
「……聞くな」
そんな冷たい一言で、さらりとかわしてしまう。
…いつものことだけど、もうちょっと構ってくれても。私は寂しくて死んじゃいますよ。
「なによー、前はいきなり抱きつくなって言ったくせにー」
「うるさい」
「ひっどーい。…いーもんねー。今度犬夜叉に会ったとき、慰ッ、…きゃッ!」
いきなり身体が浮かび上がったと思ったら、殺生丸に抱き上げられていた。
…ちょっと、なんかいやな予感がするんですけど。なんて思ったのも束の間、そのまま軽やかに飛び上がり、どんどん人気のない方へと移動していく。
…しかもなんか、すっごい意地悪な笑み浮かべてるんですけど。ドンだけ性格悪いんですか貴方は。
「あのー…殺生丸さん?何を…」
「…奴を思い出せぬほど抱いてやる」
「いや、抱く違いだから!ちょ、きゃーーーーッ!!!」
結局、私が優位に立つなんてことは無理なのでした。
…かわいそうな私。
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2008.08.22 friday From aki mikami.