「なー、俺らって付き合ってんだよなァ?」


せっせと夜ご飯をつくる私の後ろで雑誌に目を落としながら、突然ポツリともらした銀時。


「……はァ?何言ってんの」
「だってよー、俺らって好きだよ、とか全然ねーじゃん」
「……そーだっけ?」
「そーだよ」


ガバッと起き上がり、迷惑にも腰に絡み付いてくる銀時。邪魔くせーよ、アンタは。


「でもさー、俺ァオマエの好きな食いもんとか生活サイクルとか下着の色とか性感帯とかまで知っちゃってるしー」
「……うるせェよ歩く公害が」
「うわ、ひでェ!」


そんなことをいいながら、人の腰を撫で回す。なんかムカつくんですけど。っていうか性感帯はよけいだっつーの。…そりゃ、知られてるけどさ。


「…まァでもよ、んなこと言っててもお前だって俺のことすげー知ってるわけじゃん」


さっきので黙るかと思ったら、懲りずにまだ続ける銀時。…どうやらよっぽど引っかかってるんだろうか。こいつの思考回路は理解しがたい。私は豆腐を味噌汁に落としながら答えた。


「そりゃあ、まァ」
「コレってさ、もう恋人通り越して夫婦の粋だよな、うん。やっぱ俺らはラブラブだ、よし解決!」
「……オイコラ天パ。何自己完結してんだ。わけわかんねーよ」


首だけ振り返って睨みつけると、満面の笑みを浮かべる銀時。


「んー、まァようするにさァ…俺はオマエが大好きだー、ってこと!」


そういって、随分と優しいキスをくれる銀時。…私はコンロの火を消してから、ゆっくりと目を瞑ってその優しさに身を預けた。


好きなんてあえて言わなくても、わかってるくせに。コイツはただ私に、その言葉を言わせたいだけなんだ。…わかっているけど、それでも今日はなんとなく、言ってあげたい気分になった。


ゆっくりと唇が離れる。向かい合う端正な顔が、優しく笑顔を作る。


「私も、大好きだよ」


あまり言わない言葉だから、精一杯気持ちを込めて。…すると銀時はにっこりと笑って、強く強く私を抱きしめた。








web拍手ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。









2008.09.02 tuesday From aki mikami.