自分の行動に柄ではないと感じながらも、改める事が出来ずに居た。


というのも、現在ドア一枚隔てたの部屋で、かごめとが興味深い話をしているのだ。女が二人集まればする話は悪口か恋の話と相場が決まっているが、彼女達も例に漏れず。要は殺生丸が気になっている理由は、それが自分について触れているからである。


はああいうクールな人が好みなの?と。


この言い方からしてかごめが殺生丸のことを聞いているのは間違いない。だからこそ殺生丸はそれにがなんと応えるのかが気になるのだ。


手に持っているおぼんとその上にのったジュースを見つめたまま、部屋の中に耳をすます殺生丸。大丈夫だとは思うが、ばれる事を恐れてじっと息を殺した。


「うーん…別にクールが好きってわけじゃないなー」
「だよねー、だって殺生丸って今までのの好きな人と全然違うタイプじゃん」
「そう…だね。確かに珍しいタイプかも」


があまりに不思議そうに答えるので、殺生丸は複雑な気分になった。


「私はどっちかというと苦手なのよね、クールなタイプ。あ、普通に付き合う分には大丈夫だけど。でもやっぱ彼氏としてはね…」
「あー、かごめは苦手そうだよね。今彼があれだし」
「そう!犬夜叉なんてクールとはかけ離れてるじゃない?なんっかクールな人と付き合う自分が想像できないんだよねー」
「っていうか二人は一生別れなさそうだわ」
「まァ今のところそのつもりはないわねー。でも、それいうんだったらだってそうよね。ほとんど夫婦みたいなもんだしー」
「ふ、夫婦って…ただ同居してるだけだよ」
「同居じゃなくて同棲でしょ!子供はいつですかー?」
「こ、子供って!」


動揺しながらかごめの言葉を反芻する。…それを聞きながら、10年後の自分達なるものを一瞬想像したが、すぐに頭を振って打ち消した。


「でも…」


言い合っていたが突然声色を変えたので、殺生丸もぱっとそちらに注目する。かごめも同じように黙り込み、一瞬の無音が訪れた。


「…でも、…出来れば、ずっと一緒にいたいなァ」


「うっわ、なにそののろけ!」
「だ、だって思ったんだもん!」


そんな二人のやり取りを聞きながら、…殺生丸は、胸が温かくなるのを感じた。が自分を好きでいるのだと、わかっていても、直接聞けることを嬉しいと感じた。


殺生丸の顔から、滅多にない笑顔がこぼれた。




おまけ。


「それにしても殺生丸遅いなー」
「え、なに?」
「飲み物持ってきてくれるって言ってたのに」
「え、そうなの!うわー……(絶対聞かれてるよー…反応が怖い…でもちょっと興味深いかも!)」









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2009.01.15 thursday From aki mikami.