手持ち花火を全部終わらせたあと、袋に残っていた下に置く花火をすることになった。ちなみに火をつけるのは花井くんと西広くん。本当は田島くんが立候補したけど、危ないと言うみんなの猛反対にあった。


浜田くんと友里が変な顔で大盛り上がりする中、花井くんが一つ目に火をつけた。ジュアーっと火花があがり、みんながおぉー、と声を上げた。ちなみにさっきこーくんにとられたカメラはいつのまにか栄口くんが持っている。


ぼーっと花火を見つめていると、こーくんが隣に並んだ。


「―――…お前の言った通りだったな」


そんな風に言葉を始めたこーくんを振りかえると、なぜか少し機嫌が悪そうに見えた。


「? 何が?」
「花火。二人ではムリだろうなって言ってたろ」
「あぁ… うん、いったけど」
「マジでムリだったなーと思ってさ。みんなでやんのも楽しいけどな」
「うん。そーだね。 …でも、二人でもしたかったなぁ」
「…そのことだけどさ」


ポケットに手を突っ込んだまま、私の方を振りかえったこーくん。さっきとは違って、薄っすらと笑っていた。


「やるか、二人で」
「え…?」
「別に、今日以外もうできねぇってわけじゃねんだしさ」
「そうだけど…いいの?」
「いいのって、何がだよ」
「いや、べつに…」
「やりたいんだろ?」
「……うん」


そう答えたら、こーくんはよし、と笑ってくれたけど、私は少し複雑な気持ちになった。


こーくんは、私と約束したから守ってくれようとしているだけで、私みたいに、こーくんだから二人でしたいと思ってるわけじゃないんだ。そんな風に卑屈に考えてしまう自分がいやで仕方ないけど、一度とらわれてしまうと振り払うのは難しかった。