Episode 1

人間なんてそんな美しいもんじゃねーよ!

Scene.1






いやホント、突然すぎるよマジで。そりゃあ物事ってのは前触れもなく訪れるものかもしれないけど、ちょっとこれは前触れなさすぎだろ。ホントどうかしてるってこれ。


「どっちに行きたいー?」


なーんて言いながら胡坐かいてる変な奴。っていうかおss…


「おっさんじゃねーよ。まだぴちぴちの20代だよ」
「いや、その顔もうだめだよ。若さが少しも感じられないからね。20代どころか40代だよ」
「うるせーな、つれてってやんねーぞコラ」
「それだよ。つれてくってアンタ何の世界に連れて行くつもりなの。何、拉致監禁?北○鮮ですか?それとも人身売買?怖ッ!絶対ついていかねーぞ!知らないおじさんにはついてっちゃだめっておかーさんにいわれたもんねー」
「だからおじさんじゃねーよ!いー加減にしろやコラァ!あーもうやめた。せっかく選ばせてやろうと思ったのによォ。おめーにはこっちの世界のほうがお似合いだァ」
「は?」


おっさんはわけがわかんないことを言いながら後ろにあるスイッチをポチリ。ってか何のスイッチ?押した瞬間後ろにぽっかりあいていた二つの穴のうち一つがスゥーっと消えてなくなった。


「え、なにこれ何なの?夢?夢だよね夢。ってかそーだよ。私寝てたはずなのに」
「そーだよ、夢だよこれ」
「うっわ、夢の中でこんなおっさん見ちゃうなんて最悪。絶対今うなされてるよ。明日の朝ないて起きるよこれは」
「オイクソガキ、オメーこれ以上言ったらこっちの道もふさいじゃうぞコノヤローが」
「道って何だよ!いきなり人の夢に出てきてつれてくだの誘拐だの言ってんじゃねーぞヘンタイが!」
「ヘンタイじゃねェェェェェ!っつーか誘拐なんて一言も言ってねーだろーが! くっそー、仕事じゃなかったらこんなやつにぜってーかかわんねぇのによォ…」
「仕事ってだから、工作員?」
「北朝○から頭話せや! まァ、あれだ。事情は言えねーがなァ。俺はオメーを別世界までつれてかなきゃならねーんだ。行き先はその人間に合わせてこっちが決定するのが普通なんだがオメーの場合は適応力100%の世界が2つあったから選ばしてやろーってことになってな。…でも、やめた。お前絶対あっちの世界じゃ生きていけねーよ」
「え、何それ。大体その2つの世界ってどことどこなわけ?」
「ブリー○と銀魂だよ。でもオメーはブリー○じゃぜってー生きてけねェから銀魂決定な」
「え!何それ!私ブリー○の方がいいんですけど!そりゃあ銀さんは時々カッコイイし総悟のドSっぷりは大好きだし何より土方十四郎さんはもう大好きでございますれども!」


でも、私はやっぱり白○兄様の方がァァァァ!


なんて思っている間におっさんは、どっからか取り出したボタンをポチリ。途端に穴からものすごい風が巻き起こり、ありえないことに体がふわっと宙に浮かび上がる。いやいや、ありえないでしょコレ!っていうか何この風!吸い込まれるゥゥゥゥゥ!


ってことで、私はあっけなく穴の中に吸い込まれてしまった。


Scene.2


「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」


落ちるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!死ぬゥゥゥ!こんなところで人生終えたくないィィィィ!
穴に吸い込まれた後唐突に急降下した私の体は、今は青空の中をぐんぐん落ちている。あぁ、だめだ意識が…飛ぶ…ゥゥゥ、、短い人生を終えます…さよならみんな…


「よし、一丁いくか」


薄れていく意識の端っこでそんな声を聞いた瞬間、そりゃあもう意識は再浮上。何度聞いたかわからない声だからだ。


「銀さァァァァァァん!!!」
「あァ? ぉ、うおォォォォォーーー!!」


ちょうど私のすぐ下にいる銀さんの首に無理やりしがみついて着地。いや、着地なんてきれいなもんじゃなかったけどね。銀さんも巻き込んで大クラッシュ。いたたたたた、ってか、普通死ぬよね、死ぬよね!?私なんでこんなに頑丈なの!?銀さんはわかるけどさ!


「いたた…」
「いたた、じゃねーよ!何だテメーはァ!」


がばっ、と起き上がったその人はやっぱり、正真正銘の銀さん。うわわ、どうしようホンモノだァ!ってことはいとしの十四郎もいるってこと!?ヤバイ、死ぬよコレ死ぬよ!


「人がかっこつけてるときに降ってくんじゃねーよ!大体テメー誰だよ!何で俺んコト知ってるわけ!?何、ストーカー!?これ以上ストーカー増えるのいやなんですけど!」
「え、あー、えっと、って言います、よろしくー」
「名前聞いてるんじゃねーんだよ!何者だよお前どっからきた!」
「え…っと…」


どっからきた、とか言われると困る。っていうかこれってリアルに銀魂の世界なわけ?あのおっさんは銀魂の世界に連れて行く、的なこと言ってたけど、信用していいの?でも目の前にいるのは正真正銘の銀さんで、それにしてもまだ夢の続きってこともあるだろうし…ってか、やっぱこれって夢よね、そう夢の続き。夢なんだからもう思いっきり暴走しちゃおっかなー。


「えっと…異世界から来ましたー、って言います」
「異世界って何だよ!天人!?」
「……そんな感じ?」
「俺に聞くなよ!なんで疑問系なんだよ!」
「いやー、これにはいろいろとわけが…」


…ってか。


「え…」
「あァ?」


今気づいた。銀さんが背中にしょってるのって、荷物とかじゃなくて…


「なふ」


子供ォォォォォ!?


2008.04.20 sunday From aki mikami.